長崎での陸自訓練に沖縄県警と11管が参加 五島列島、尖閣対処を想定

 長崎県五島列島の津多羅島で陸上自衛隊が11日に実施した尖閣諸島での対処を想定した訓練について、沖縄県警の警備部に属する「国境離島警備隊」と第11管区海上保安本部の巡視船数隻が県内から参加していたことが12日、関係者への取材で分かった。訓練は外国の武装勢力が不法上陸した「グレーゾーン事態」を想定して、警察と陸上自衛隊などが制圧するまでの一連の流れを確認したとみられる。

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  県警の国境離島警備隊は2020年4月に発足し、自動小銃やサブマシンガン、小型ヘリなどを装備しており、今回は実際に陸自などと対処訓練に加わったとみられる。県警は国境離島警備隊について具体的な配備場所や規模について、明らかにしていない。11管は人員輸送などの任務を担ったとみられる。
 関係者によると、訓練は日米統合共同演習「キーン・ソード」とは切り離されて実施され、長崎県内の陸自部隊と沖縄県警、海上保安庁が参加した。グレーゾーン事態に対応する訓練のほか、他国から武力攻撃を受けた「武力攻撃事態」を想定した訓練も自衛隊によって計画しているとみられる。
 訓練が行われた津多羅島は五島列島・福江島の南約2.5キロに位置する無人島で、海岸線からすぐに険しい崖が続く地形が尖閣諸島の魚釣島と酷似していると指摘されている。
 今回の訓練の実施について、防衛省や県警などは詳細を公表していない。一方、昨年11月にも津多羅島で陸自水陸機動団、沖縄県警、大阪府警、海保など約400人が参加し、島嶼(とうしょ)部特有の地形でも円滑に行動できるよう、ボートやヘリコプターを使用した部隊の輸送訓練などを実施し、後日公表していた。
 (池田哲平)
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