バウティスタが2022年チャンピオンを獲得。ドゥカティライダーとしては11年ぶり/SBK第11戦インドネシア

 スーパーバイク世界選手権(SBK)第11戦インドネシアラウンドがプルタミナ・マンダリカ・インターナショナル・ストリート・サーキットで行われ、レース2の結果、アルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が2022年のチャンピオンに輝いた。

 レースはトプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハwith BrixxワールドSBK)が、レース1、スーパーポール・レース、レース2で優勝を飾った。

 スーパーポールの結果により、ポールポジションにはラズガットリオグル、2番グリッドにはジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)、3番グリッドにはアンドレア・ロカテッリ(パタ・ヤマハwith BrixxワールドSBK)が並んだ。チャンピオンシップのランキングトップにつけ、このインドネシアラウンドでタイトル獲得がかかるバウティスタは5番グリッド。野左根航汰(GYTR・GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)は14番グリッドを獲得している。

 イケル・レクオーナ(チームHRC)はフリー走行2回目の転倒により椎骨と左側の仙骨を骨折し、欠場。また、フリー走行3回目で転倒したルーカス・マヒアス(カワサキ・プチェッティ・レーシング)も右足首の捻挫により、欠場となった。

■レース1:ラズガットリオグルがトップを快走して優勝

 レース1は気温36度、路面温度56度のドライコンディション。このレース1は、SBK 900回目のレースとなった。好スタートを切ったポールポジションスタートのラズガットリオグルはトップを快走し、2周目には2番手にレイが浮上。3番手にロカテッリ、バウティスタは4番手に続き、この4人が後方を引き離す展開となる。

 周回を重ねるにつれ、トップのラズガットリオグルは2番手のレイに対して差を広げ、独走態勢を築いていく。一方、2番手のレイの背には、ロカテッリをかわして3番手に浮上したバウティスタが迫る。

 バウティスタは9周目の15、16コーナーでレイをオーバーテイクし、2番手に浮上した。このとき、トップのラズガットリオグルと2番手のバウティスタとの間には、すでに3秒ほどの差がある状況である。

 バウティスタは少しずつラズガットリオグルとの差を縮めていく。残り9周、その差は約1秒。だが、安定したペースを刻むラズガットリオグルに対し、バウティスタのペースは後半に入って落ちていった。残り5周で二人の差は2秒以上に開く。

 ラズガットリオグルはトップを守りきり、優勝を飾った。2位はバウティスタ、3位はレイが獲得している。4位はロカテッリ、5位はマイケル・ルーベン・リナルディ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)だった。野左根は15位でゴールしている。

 この結果、ランキング3番手のレイはランキングトップのバウティスタとの差が102ポイントに広がり、タイトル獲得の可能性が消失した。タイトル争いはバウティスタと77ポイント差でランキング2番手のラズガットリオグルの二人にしぼられることになった。

■レース2:ラズガットリオグルとバウティスタが激しいトップ争いを展開

 スーパーポール・レースはラズガットリオグルが優勝。2位はレイ、3位はロカテッリが獲得した。バウティスタは4位だった。野左根は20位に終わっている。

 レース2は気温36度、路面温度61度のドライコンディション。スーパーポール・レースの結果により、ポールポジションにラズガットリオグル、2番グリッドにレイ、3番グリッドにロカテッリ、そしてバウティスタは4番グリッドからスタートした。ホールショットを奪ったのは2番グリッドスタートのレイで、レースをリードする。2番手はラズガットリオグル。4周目には3番手にバウティスタが浮上した。

 6周目、ラズガットリオグルがレイをパスしてトップに立つ。レイの後ろにはさらにバウティスタが迫り、8、9コーナーでオーバーテイク。トップはラズガットリオグル、2番手がバウティスタとなった。レイはその後、アクセル・バッサーニ(モトコルサ・レーシング)にもかわされ、4番手に後退している。

 タイトル争いを展開するラズガットリオグルとバウティスタは、コース上でも火花を散らす。ラズガットリオグルに迫るバウティスタ。しかしラズガットリオグルはトップを守る。バウティスタは、ラズガットリオグルが優勝したとしても2位でゴールすればチャンピオンが決まる状況だ。

 レース中盤に入ってもラズガットリオグルとバウティスタの差は0.2秒から0.3秒ほどを保ったまま、ほとんど変わらなかった。しかし14周目、バウティスタがついにラズガットリオグルをとらえる。1コーナーのブレーキングで、バウティスタがラズガットリオグルをオーバーテイク。だが、ラズガットリオグルも負けじとトップを奪い返す。ラズガットリオグルとしては、前に出るしかない。

 何度かの攻防の末、残り6周でラズガットリオグルがバウティスタをパスし、トップを奪還した。ここからバウティスタはペースを落とし、ラズガットリオグルの先行を許す。バウティスタの後ろには3番手のレイがいたが、約1秒の差があり、トップ3はそれぞれ単独走行になっていた。

 ラズガットリオグルはトップでゴールし、インドネシアラウンドで3連勝を飾った。2位はバウティスタ、3位はレイ。4位にはロカテッリ、5位にはバッサーニが入った。野左根は転倒リタイアに終わった。

 この結果、バウティスタが2022年シーズンSBKのチャンピオンに輝いた。バウティスタにとってはSBK初の戴冠であり、ドゥカティにとっては2011年のカルロス・チェカ以来のタイトル獲得。前週にはMotoGP最終戦バレンシアGPでドゥカティのファクトリーライダー、フランセスコ・バニャイアがチャンピオンを獲得しており、2022年、ドゥカティはSBKとMotoGPでタイトルを獲得したことになる。

 スーパースポーツ世界選手権(WSS)のレース1では、ニキ・トゥーリ(MVアグスタ・レパルト・コルセ)が優勝し、2位はフェデリコ・カリカスロ(アルテア・レーシング)、3位はジャン・オンジュ(カワサキ・プチェッティ・レーシング)だった。タイトル獲得の可能性を残していたランキング2番手のロレンソ・バルダッサーリ(エヴァンブロス.ワールドSSPヤマハチーム)が転倒したことで、4位でゴールしたドミニケ・エガーター(テンケイト・レーシング・ヤマハ)がチャンピオンを獲得。エガーターは電動バイクのチャンピオンシップ、FIM エネルMotoEワールドカップでもチャンピオンに輝いており、WSSとMotoEで二つのタイトルを獲得した。

 レース2では13周目に3番手のトゥーリが転倒を喫したことで、14周目に赤旗が提示され、レースリーダーが全周回数の3分の2を終えていたことからそのまま終了となった。優勝はエガーター、2位はステファノ・マンジ(ダイナボルト・トライアンフ)、3位はオンジュが獲得している。

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