近年は店舗改装、SMシフトに注力……平和堂が打つ再成長に向けた布石

平和堂は、滋賀県を中心に京阪神・北陸・東海で総合スーパー(GMS)「アル・プラザ」や食品スーパー「フレンドマート」を展開する。1957年に設立された同社は1960年代終盤から多店舗展開に乗り出し店舗網を拡大。1980年代後半に50店舗、2000年代後半に100店舗を突破した。店舗数の増加とともに年商を伸ばし、1990年代初頭に2000億円、1990年代半ばに3000億円、そして2000年代半ばに4000億円を突破した。

地域密着をキーワードに、地元・滋賀に強固な基盤

平和堂は近年、SMの出店を増やしてきており、GMSとSMの店舗数・売上の割合も変化している。店舗数を見ると、10年ほど前にはGMSとSMはともに60店舗台で拮抗していたが、2019年度にはGMS60店舗・SM94店舗とSMが大きく増えた。

これに伴い、GMS8割・SM2割だった売上比もGMS6割・SM4割と、GMSが低下しSMが高まっている。出店でSMシフトは鮮明だが、「地域密着のライフスタイル総合(創造)企業」をめざすという経営ビジョンを掲げており、衣食住全般の需要をカバーする方向も打ち出している。

展開地域は2府7県におよぶ。店舗数は平和堂単体で滋賀77、京都18、大阪21、兵庫3、福井6、石川7、富山2、岐阜7、愛知15の合計156店舗(2022年2月末時点)。店舗総数の5割ほどが滋賀県に集中し、売上高でも全体の4割を滋賀県が占めるほどで、滋賀県に強固な営業基盤を築いている。

経営ビジョンに見られるように、地域密着は平和堂にとって重要な位置を占めている。実際に、自社開発商品で地元商品を拡大したり、地場商材を使った商品を増やしたりするほか、買い物代行や移動販売などのサービスの展開や自社農場運営など地域を意識した取り組みもさまざまだ。

23年2月期はコスト増で業績を下方修正へ

2021年度(2022年2月期)連結業績を見ると、売上高に相当する営業収益が過去最高の4397億円、営業利益が過去二番目となる153億円という増収増益の好結果を残した。新型コロナウイルス禍による食品の特需が続いたことに加え、衣料品や中国の百貨店事業が回復したことが要因だ。

だが、2022年度については、上期業績が計画未達だったこともあって、通期予想を下方修正している。営業収益は4090億円(新収益認識基準)で据え置いたが、営業利益を当初予想の141億円から33億円減の108億円に引き下げた。コロナ特需が一巡したのに加えて、商品仕入価格や光熱費の高騰のほか、店舗改装投資における一時費用の増加が収益を圧迫するためだ。

近年は店舗改装に注力、その成果は?

平和堂がここ数年、戦略的に取り組んできたのが店舗改装だ。収益力を高めるため、新規出店よりも店舗改装による既存店の活性化に力を入れてきた。既存店投資が新店投資を上回る年が多く、2021年度を見ても新店投資4億円、既存店投資40億円、2022年度計画でも新店投資9億円、既存店投資72億円と既存店投資の比重が大きい。

店舗改装は計画的に進められてきた。2014年に食品売場の改装に着手し、2021年度からは食品だけでなく、衣料や住関連の直営売場面積の適正化を図るとともに、テナント導入やコミュニティゾーン機能強化を含め館全体に及ぶ改装を行ってきた。改装店舗数は食品改装にかぎってみると2014年度から2021年度まで延べ107店舗に達している。

具体例を見ると、2021年度に改装を実施した「アル・プラザ鶴見」(岐阜県)では、好感度の売場づくりをめざし、碁盤目状になっていたレイアウトに曲線の通路を多用したり、照明や天井に意匠を施したりするほか、自営の文具売場とテナントの書店との連携も試みている。「アル・プラザ武生(福井県)」では、食品売場の大型改装に加えて、客が楽しめるスペースとして地域サロンを設けるなど館全体の価値向上を狙った改装を行っている。

2022年度に入ってからも引き続きこうした改装を実施しており、アル・プラザ高槻やアル・プラザ長浜での改装は食品・衣料・住関連、テナント・コミュニティゾーンなど全館におよんでいる。平和堂によると、2021年度から2022年度上半期に改装した店舗は、改装前と改装翌月から2022年8月までの売上の伸びは3%増という改装効果があったとしている。

生産性向上、都市型小型店開発を推進中

店舗改装に加えて、2018年度からは人件費単価アップと筋肉質経営の両立という目標を掲げ、生産性向上に取り組んでいる。その結果、2021年度は2017年度に比べ、総労働時間9%減、人件費単価7%増、人件費2%減という結果を出している。

既存店活性化や生産性向上に取り組む一方、都市部攻略に向けた300坪程度の店舗の開発にも乗り出している。300坪店舗はすでに展開しているが、店舗による売上のバラツキをなくすように修正し本格展開に備える。

現在、2011年開店の「フレンドマート西淀川千舟店」(大阪府)を2022年2月に改装し都市型300坪店舗を実験中だ。さらに、過疎地域やすでにドミナントを形成しているエリアでも収益が見込める小型店舗を2022年度にも出店する予定だ。

平和堂の年商推移を見ると、2000年代終盤に4000億円を割り込んだものの、2010年代に入ると成長軌道に戻し4000億円台に乗せたが、店舗改装に軸足を置いてきたこともあって、ここ数年はほぼ横ばいを続けている。既存店活性化や生産性向上の取り組みはどのような成果を残せるか。次の成長に向けた試金石となる。

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