高台に新園舎が完成 くしもとこども園、津波被害なく安全に

テープカットをする関係者とくしもとこども園の年長児(13日、和歌山県串本町串本で)

 和歌山県串本町の幼保連携型認定こども園「くしもとこども園」の新園舎が同町串本、町道サンゴ台中央線沿いの高台に完成し、13日に竣工(しゅんこう)式が開かれた。来年1月4日に開園する。

 将来発生が予想されている巨大地震による津波被害を避けるため、町が高台への新築移転を進めていた。

 竣工式には田嶋勝正町長、潮﨑伸彦町教育長、くしもとこども園の湯口いづみ園長や保護者会役員、町内の子育てや教育関係者、県議、町議、建設に携わった事業者ら約60人が出席した。

 田嶋町長は「保護者の方々から高台への新築移転の要望を受けていた。長い間お待たせしたが、病院や消防防災センター、役場に近く、子どもたちを災害から守るにはこれ以上ない場所に完成した。これからも『子育て支援』を基本に置いてまちづくりを進めていきたい」と式辞。年長児がこども園の園歌を歌って新園舎の完成を祝った。午後からは町民らを対象にした一般内覧会も開いた。

 新園舎は海抜約50メートルに10月末完成した。紀州材を中心とした木造平屋で、定員は0~5歳児の150人。保育室が8室、遊戯室、延長保育室、中庭などがある。町子育て支援センターを併設している。

 敷地面積は職員の駐車場を含めて約1万190平方メートルで、延べ床面積は約1843平方メートル。総事業費は10億5801万3174円で、このうち建築工事費は8億7851万600円。

 こども園の現園舎は同町串本の海抜約6メートルにあり、現在140人が通っている。2011年の東日本大震災を受けて、町保育環境検討委員会が、低地にある保育施設を高台に移転するよう町に答申。保護者からも、待機児童の解消と高台移転を求める声が上がっていた。町は17年度に、低地にあり隣接していた串本保育所と串本幼稚園を「くしもとこども園」に統合。19年度から新園舎の設計に取りかかり、21年8月から建設工事を進めていた。

津波被害の恐れがない高台に建設された「くしもとこども園」の新園舎(和歌山県串本町串本で)=町の許可を得てドローンで撮影

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