世界遺産周辺の気象状況を反映へ 日光のアメダス観測所が移設

観測開始に向けて工事が進む「日光東町」観測所=14日午後、日光市

 日光市瀬川にある気象庁の地域気象観測システム(アメダス)「今市」観測所が15日、運用を終了し、16日から同市稲荷町の「日光東町」観測所で新たに観測を始める。移設の理由は借地の都合だが、同市山内の世界遺産「日光の社寺」にほど近くなるため、地元住民からは、より観光地の気象状況が反映されることを歓迎する声が上がっている。

 アメダスは雨、風、雪などの気象状況を時間や地域ごとに細かく監視するシステム。一般的に30平方メートル以上の敷地に複数の計測機器が設けられ、降水量、風向き・風速、気温などを自動で観測する。

 新しい観測所は、現在の地点から西北西に約6キロ、標高が150メートルほど高い位置に設けられる。日光の社寺の玄関口に当たる「神橋(しんきょう)」からは約1キロの距離に近づく。

 日光市の山内自治会長の岸野稔(きしのみのる)さん(76)は「今市地区と(新たに設置される)旧日光市の気象は全然違う」と強調し「観光客にとって実態に近い観測となる。地元としてありがたい」と喜ぶ。

 冬になると、今市地域では降っていない雪が、旧日光市の観光地では降っていることもあるとし「今市の気象を見てノーマルタイヤで来てしまう人もいて、交通事故につながる可能性があった」と指摘した。

 借地先への影響や計測機器へのいたずらを防ぐため、詳しい設置場所は非公表となっている。

15日で運用が終了する「今市」観測所(宇都宮地方気象台提供)

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