ローカル線存廃 国は中立で関与を 中四国知事ら共同アピール採択

中四国サミットで発言する岡山県の伊原木知事(奥の前列右から2人目)

 中四国9県の知事と中国、四国の両経済連合会長による「中四国サミット」が14日、高松市内で開かれた。JRローカル線の利用低迷を踏まえ、存廃を含めた路線の在り方を沿線自治体と鉄道事業者が話し合う国主導の協議会について、廃線ありきでなく、中立的な立場で関与するよう求める共同アピールを採択した。

 アピールでは「鉄道は一度失われると復元が非常に困難。一部の線区が廃止されれば鉄道ネットワークの効果そのものが失われる」と指摘。国が設置する「特定線区再構築協議会(仮称)」は廃止を前提とした議論とならない運用を求めた。新幹線や大都市圏の鉄道の収益でローカル線の赤字を補うJRの「内部補助」構造に対する考え方を明確化することも盛り込んだ。

 伊原木隆太岡山県知事は「鉄道路線の維持は県境をまたいだ問題。岡山も近隣県と連携を強めて対応するが、国にもきちんと関与してほしい」との考えを示し、湯崎英彦広島県知事は「赤字の路線に絞って廃線ありきで議論してはいけない。まずは国が公共交通の在り方について全体像を提示すべきだ」と述べた。

 共同アピールは計7件。このほか、海洋プラスチックごみの発生抑制の取り組みを支援する新たな制度創設、新型コロナウイルス禍で激減したインバウンド(訪日客)回復に向けた入国手続きの迅速化などを求めた。今後、各県が個別に関係省庁に要望する。

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