竹内アンナ、原点の"弾き語り"ツアーファイナル公演レポート!

竹内アンナが11月12日(土)、弾き語りツアー『弾き語り TOUR 2022 atELIER -アトリエ-』の追加公演を東京・淀橋教会 インマヌエル礼拝堂で開催した。

重要文化財や現代建築、劇場など、普段とは違う場所での弾き語りをテーマにした『atELIER -アトリエ-』。昨年に続き2度目の開催となった今回は、東京・自由学園明日館講堂(10月16日)、福岡・石蔵酒造 博多百年蔵(11月2日)、大阪・大阪市中央公会堂 中集会室(11月4日)、愛知・千種文化小劇場(11月11日)で公演が行なわれ、追加公演の会場である淀橋教会は、2004年に創立100年を迎えた歴史ある教会。神聖な雰囲気に溢れたインマヌエル礼拝堂で竹内アンナは、オーガニックで奥深い弾き語りを聴かせてくれた。 美しい午後の日差しが差し込む礼拝堂に竹内アンアが姿を見せると、観客が拍手で迎える。1曲目は「ペチュニアの花」。アコースティックギターの音色と切ない歌声が響き渡り、会場全体が穏やかな空気に包まれた。ライブハウスやホールとは全く違う音響も印象的だ。 心地よいグルーヴをたたえた「ICE CREAM.」(ラップを交えたボーカルも楽しい!)を披露した後、最初のMC。 「私も教会で演奏するのは初めて。めちゃくちゃ天井高いですね! 普段とは違う雰囲気を味わってもらえたらなと」と挨拶すると、再び大きな拍手が巻き起こった。

「私の部屋に遊びに来た感じで楽しんでもらえたら」というのも、『atELIER -アトリエ-』ツアーのテーマ。「Rhythm Nation」(ジャネット・ジャクソン)、「踊(Odo)」(Ado)のカバーでは、“普段もこんなふうにいろんな曲を弾き語りしてるんだろうな”と思わせる遊び心たっぷりの演奏を披露。ステージに置かれたランプ、テーブル、観葉植物などもこのライブの親密なムードにつながっていた。

ライブ中盤では、ガットギターに持ち替え、「いいよ。」「泡沫SUMMER」などのメロウな楽曲を描き出す。ナイロン弦の優しい響きと表情豊かなボーカルのコントラストも心に残った。 この日、使用されたアコギはメインの“Martin/OMJM John Mayer”(彼女が敬愛するジョン・メイヤーのシグニチャーモデル)、“Martin/00-18”そして同じくMartinのガットギター。多彩なテクニックと表現力を兼ね備えたギタープレイもさらに向上していた。

ライブ後半では、3カ月連続(9,10、11月)配信リリースの第1弾「あいたいわ」を演奏。“電話をかけるか、かけないか”と思い悩む感情の起伏を表現した曲は、愛らしい切なさと優れたポップネスが同時に感じられるナンバー。アコギの弾き語りによって、この曲の魅力が真っ直ぐに伝わってきた。 「ALRIGHT」「RIDE ON WEEKEND」とアッパーチューンを続けた後、本編ラストは「手のひらを重ねれば」。観客のハンドクラップとのセッションによって、自然な一体感を生み出した。

アンコールでは、3カ月連続配信リリースの第2弾「made my day feat. Takuya Kuroda / Marcus D」を披露。そして「Love Your Love」の冒頭ではオフマイクで弾き語りを響かせ、大きな感動を生み出した。

「自分の部屋で作った曲たちが、こんなふうにみなさんに聴いてもらえるのは、すごく嬉しくて、ちょっと不思議な気持ちです。弾き語りは私の原点。これからもこうやって音楽を共有していきたいです」という言葉も心に残った。現在は新作EPの制作中だという竹内アンナ。今回の『atELIER -アトリエ-』ツアーで改めて示した豊かな音楽性、シンガーソングライターとしての色とりどりの魅力は来年以降、さらなる進化を遂げることになりそうだ。(Text:森朋之 / Photo:浜野カズシ)

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