東京23区などタクシー運賃15年ぶり値上げ 背景には労働環境の改善が…

東京都心部のタクシー初乗り運賃が15年ぶりに値上げされ、420円から500円になりました。背景には新型コロナウイルス感染症による利用客の減少や燃料高騰以外に、運転手たちの労働環境の改善がありました。

11月14日から都内のタクシー運賃が値上げとなりました。対象は23区全域・武蔵野市・三鷹市のエリアで、普通車では初乗り運賃が420円から80円引き上げられて500円に、走行距離ごとの加算額も233メートルごとに80円から255メートルごとに100円となりました。運賃値上げに対し、街の人からは「すごい値上がりで、高い」「頻繁に乗る人には少し厳しいかなと思う」「いろいろなものが値上げしているのでタクシーまでとなると、少しずつ生活が苦しくなる。タクシーを利用するたびに値上げを痛感するのかな」などといった声も聞かれました。一方、タクシー運転手からは「どうしても収入ということを考えると、単価が上がるのは助かる」と話す人もいましたが「(この値上げで)お客さまが減る流れになるのかな。(タクシーが)高い乗り物ということを考えたら、この値上げで向こう10年・15年はこのままであってほしい」と話す人もいました。

なぜ、タクシー事業者は15年ぶりの運賃値上げに踏み切ったのでしょうか。都内のタクシー事業社が加盟する「東京ハイヤー・タクシー協会」によりますと、タクシー業界は労働環境の改善などのため、5年ほど前から運賃の値上げを検討してきました。そうした中、新型コロナウイルスの感染拡大が襲いました。タクシー事業者はキャッシュレス決済などの設備投資にコストがかかる一方、コロナによる利用客の減少が重なり、経営状況が悪化していました。さらに燃料費高騰なども重なり、今回、運賃値上げに踏み切りました。東京ハイヤー・タクシー協会の西澤明洋経営委員長は「コストを切り詰めていくのは限界だった」としています。

しかし、タクシー協会によりますと値上がり分は利益につながらず、多くは必要経費になるといいます。タクシー協会の西澤経営委員長は「ほとんどが運転手の待遇改善、給与の改善に使われる。これからの投資でほぼ終わってしまう」と話し、タクシー業界の厳しい状況は今後も続きそうです。

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