Instagramで政治家と話そう 小川淳也議員(立憲民主党)

Instagramで政治家と話そうって?

Facebook Japan社・イチニ株式会社主催、NO YOUTH NO JAPAN共同の企画。Instagram上のアカウント(@youthpoli_meeting)で政治家とNO YOUTH NO JAPAN代表の能條桃子がライブ形式の一対一の対話(Instagramライブ)を行います。

政治家と有権者が直接コミュニケーションを取る機会が少ない中、屋外での街頭演説ではなかなか聞けない素朴な疑問もInstagramライブという機能を使うことで気軽にぶつけることができます。

※なお、本記事ではInstagramで配信したライブの一部を書き起こしています。全編は、

にて、ご覧ください。

小川淳也さんが登場!

NO YOUTH NO JAPAN 能條桃子(以下、能條):
こんばんは!今回は17回目のライブ配信ということで、小川淳也さんがゲストで来てくださいます。よろしくお願いします。

小川淳也さん(以下、小川):
こんばんは!よろしくお願いします。私の顔映ってますか?

能條:
はい、映っていますよ。はじめに、簡単に自己紹介をお願いします。

小川:
はい、小川淳也です。1971年生まれの51歳です。
最初の10年は中央官庁で働き、一念発起して政治の世界に入りました。そこから20年、挫折と失敗と忍耐と我慢の日々です。以上です。

能條:
ありがとうございます。小川さんは『なぜ君は総理大臣になれないのか』や『香川1区』といった映画にも出演されていますよね。今日は30分ほど、よろしくお願いします!

「汚い」政治のイメージを変えるために。家族の反対を押し切って立候補。

能條:
政治家になられる前について詳しく教えて頂けますか?

小川:
はい、両親がパーマ屋を今でも(香川県の)高松でやっていまして、その両親から「日本の政治家はろくなもんじゃない。でもお役人が立派だから良い国になった。だからお前も政治家に影響されない立派なお役人になって、世のため人のために働け」と言われて育ちました。なので、それを素直に受けて中央官庁の旧自治所というところで働いていました。
ですが、役人は役人で天下りや予算や権限の縄張り争いなど自分の入った省庁が一番という感じで、世のため人のために働いている人はいるのかなと疑問に思いました。政治家は政治家で、地元に橋を作りましたといった自慢合戦でろくなものではないと当時も思っていましたし、今も少し思っています。
しかし、お役人が立派だから世の中が良くなったというのは、昭和がそうでもこれからは違うのではないか、政治を正すべきなのではないかと思ったのが(政治家になろうと思った)原点です。

能條:
それで政治家になろうと思い、地元から立候補することになったのですか?

小川:
一言で言うとそうなのですが大変でした。田舎の選挙区で自民党さんが強くて。
相手候補の方は地元新聞とテレビのオーナー一族で、おじいさんの代から70年国会に議席を持つお家柄でした。
(相手候補の)じいちゃんも父ちゃんもご自身も大臣で、僕はパーマ屋の息子でしょ。
嫁さんも両親も「勝負にならないのに、気でも狂ったのか」と大反対でした。それを説得して最後振り切るのに2年ぐらいかかっています。

能條:
最終的には(政治家になることに)ご家族は納得されたということですか?

小川:

しぶしぶね。父からは、最初は気でも狂ったかと言われました。
ですが父に「(小川さんの)言っていることがそんなに間違っていないかもしれない。でも覚えとけよ。もし(小川さんの)初心がずれてきたと感じたら俺が先頭に立って引きずり下ろす」と言われました。
私の奥さんは高校の同級生なんですが、当時娘も幼くて5歳と3歳でした。(奥さんからは)「中央官庁に疑問を感じて辞めるのは仕方がないけれど、自分の旦那が汚くて恐ろしい政治の世界に行くのは耐えられないから、それだけは止めてくれ」と言われていました。
(妻の)その気持ちも分かるなと思いました。ですが、政治や世界の汚い部分や恐ろしい部分を置いておく限りこの国は良くならないので。
政治のイメージを塗り替える位の大勝負をさせてほしいと、やれるかやれないかは分からないがやってもみなければ死んでも死に切れんということで(政治家になる)決断をしました。
なので、簡単な決断ではなかったです。

減る若者、増える高齢者。時代に合った新たな社会が必要。

能條:
政治家になろうと決断された時に、まず取り組まなければならないと思われた社会問題は何でしたか?

小川:
当時はこの社会がおかしいと思い始めてはいましたが、何がおかしくてどうすればいいのかは分かりませんでした。
最初(初出馬の際に)落選して2005年に初当選させて頂きました。
それ以降国会で議論して調べて考え続けるうちに、(雇用や社会保障、財政や気候変動や国際情勢といった)全部が一つのところに繋がっていると思うようになりました。

(小川さんが人口ピラミッドのフリップを視聴者に見せる)

1950年代の人口構成はこのように(若者や働く世代の方が、高齢者よりも多く)なっていて、この時に日本社会の基礎が設計されました。
しかし今の時代は逆の(若者が高齢者よりも少ない)状態で、昔のように若い世代が高齢者を支えきれない。
人口構成が昭和と真逆になる一方で政治だけが変わっていません。だから人口が減るんです。
これは少子化対策だけでなんとかなる問題ではないから、例えば外国に開かれた社会にする必要があるだろうし、世代間格差を解消して社会保障も抜本的に改革する必要があります。
(社会保障の)付けがたまって出来たのが財政赤字で、このように昭和(のスタイル)の社会を維持するために赤字をたくさん生むことで金融政策が身動き取れなくなり円安が進んでいます。
エネルギーの9割を輸入しており再生可能エネルギー化も進んでおらず、食料品も7割を輸入に頼っているので円安になると物価が上がります。
なので結局全部が繋がっていて、複雑に見えるけれど実はシンプルで、人口が減り始めたことに対応した社会を作り直すことが全ての解決策だということにある頃から行きついたんです。

能條:
なるほど、根本に政治があるということですね。

小川:
はい、新しい時代に合わせて政治が大胆に変わらなければなりません。
ですが、そのためには(国民にとって)耳当たりの良い話ばかりではなく、不都合なことや国民に負担のかかることも含めてきちんと説明する必要があります。
そしてさらに、(現状を)どのようにしたら乗り越えられ、その先にどんな社会があるのかを説明するには、この人たち(=政治家)は信用できると思ってもらう必要があります。
このような何拍子もの奇跡のようなことが起きないと日本の社会は変われない。社会を変えるには政治が変わらなければなりません。
そして、政治が変わるには政治家が変わる必要があり、政治家が変わるには(選ぶ側の)国民が変わる必要があります。
(私は)このように全てが連動しているということに気づき始めました。

能條:
ありがとうございます。私たち(NO YOUTH NO JAPAN)も、政治家と国民は鏡だという話や、選挙の時以外は政治への関心が薄くなり政治家に任せきりになってしまいがちであるという話をよくします。

議員としての1年間の成果は?

能條:
今、コメントからの質問で「小川さんのこの一年の成果は何ですか?」という質問がありました。
政治家のニュースというと悪いところしか取り上げられないというイメージがあるのですが、2021年の衆院選から約1年経ちご自身から見た成果についてお話頂けますでしょうか?

小川:
はい、昨年の衆院選では選挙区で当選させて頂き、悲願を達成することができました。
また、敗れてはしまいましたが、立憲民主党の代表選挙に立候補して出馬させて頂いたことも結果として大きかったです。
政調会長として(党の)様々な政策決定やメディア対応をしました。それから2022年の参院選の期間中に全国80か所を回らせて頂きました。このように、活動の幅が広がったことは大きかったです。
しかしやはり野党なので、政権時代にできていたようにこの部分を正しく変えたというような具体的な成果は非常に乏しいです。
党内外やメディアで議論したり国会で問題提起をしたりといった野党の役割は担いましたが、社会的成果は何かと問われると心もとないです。

能條:
なるほど、野党だからこそ担える役割もある一方で、与党にならなければ実現できない部分もあると感じました。

「明日に希望が持てない」 若者の保守化と影響力の低下

能條:
事前に頂いた視聴者からの質問で「日本は他国に比べて政治や社会が変わるスピードが遅いと感じるのですが、どのようにお考えですか?」ときています。こちらはいかがでしょうか?

小川:
僕にも23歳と25歳の娘がいて、気の毒に思う面もありまして、10代と20代が社会の中で少数派になることは歴史上初めてのことなんです。
かつての日本は多産多死型の社会でしたが、今は少産少死長寿型の社会に移行する過程にあります。
10代20代の人口が少ない上に投票率まで低いので社会的影響力を決定的に失っています。
このような意味で日本社会がいわば更年期を迎えており、ダイナミックかつスピーディーな変革を遂げにくくなっている気がします。

(再び人口ピラミッドのフリップを見せながら)

能條:
そうですよね、NO YOUTH NO JAPANも若者の投票率を上げようと活動していますが、(有権者の中での)20代の割合が50年前の3割から1割に減ってしまっていて、影響力が減っていると感じます。

小川:
もう一つの問題は、昭和の時代は皆が明日は今日よりも良くなると思って生きていましたがが今は違うことです。
特に今の若い世代は、明日は今日よりも厳しいかもしれないと思って生きています。
昔の若者は「恋と革命に生きよ」と言われるくらい大胆にチャレンジする側に回れたのですが、今の若者は今日を守ることで精一杯でチャレンジしにくく保守化していると言われています。
普通は高齢者のように既に成功した人が自分の会社や資産を守るために保守化します。
しかし、今の若い人は何も持ってないのにささやかな今を守るために変革を恐れて保守化する傾向に追い込まれてしまっていて、大人の責任を感じています。

「普通の人」も政治家になれる社会へ

能條:
普段政治家として活動される中で、選挙制度についてどのように考えていらっしゃいますか?

小川:
制度の問題ではやはり、小選挙区制なのに比例区がくっついていたり、参院選では1人区から6人区まであって比例区がくっついていたり、地方議会選挙では1つの選挙区から30人も40人も選んだりと、日本の選挙制度が一体何を理念とているのか分からなくなっていることが挙げられます。
そしてこれが日本政治が混乱している1つの要因だと思います。
もう一つの問題は、選挙への参入障壁が高すぎることです。
つまり、選挙に立候補するためには会社を辞めて二度と戻れないこともあるという風に、狂ったような判断をしないといけないということです。
そうなると、立候補できるのは何の心配もない世襲の人か狂った人かになり、普通の人が政治家になりにくい社会になっています。
このことが、日本の国会が浮世離れして機能しないことの大きな要因です。
なので、今度選挙制度を変える際には国と地方合わせて、小選挙区か比例代表かは別として、理念として筋を通した選挙制度のインフラを作る必要があります。
あとは、ドイツのように官僚が政治家に立候補して失敗しても戻れる仕組みを作るなど、普通の人も立候補しやすくして競争を促す制度改革が必要だと考えます。

能條:
たしかに、国会議員になるには供託金や選挙活動に必要なお金がかかりますし、現状一般の人が少し貯金して出られるものではないですよね。
あと、NO YOUTH NO JAPAN でも非選挙権年齢を25歳や30歳から引き下げようという話が出ているのですが、どのようにお考えですか?

小川:
賛成です、そういうのも進んだらいいと思います。
諸外国のスタンダードもそうですよね。18歳から政治家を選ぶなら18歳から(政治家に)選ばれてもいいよね。

野党共闘は多様性の受容

能條:
コメントで「野党共闘に必要なことはなんでしょうか?」というものがいくつか来ています。

小川:
野党に所属する人(議員)には多様性を訴える方が多いですね。ですが、多様性を訴えていながらあの野党は嫌だ、この野党は嫌いだと言う方も多いです。
野党にいる人が一番気をつけなければいけないのは、スッキリしたいという気持ちと戦うことです。
野党の支持者の方にも、気持ちは分かりますが、あそこと組んだらダメだと仰る方が多いです。
ですが、支持者の方にも維新だろうが共産だろうが、まとまって自民党を倒してくれと言うだけの妥協と覚悟が必要です。
有権者のそうした声があれば野党も纏まらざるを得ません。野党が私利私欲で分裂している現状ほど情けないものは無く、国民にとっての選択肢の無さに繋がっています。
イギリスはトラス政権が終わって保守党が痛手を負っていますが、きちんと労働党という受け皿があり支持率も50%を超えています。
日本は皆が岸田さんにがっかりしても他に選択肢がありません。その責任は野党にあり、野党の支持者にも責任の一端があります。
気持ち悪さ(=他の野党を受け入れること)を抱きしめていこう、それが多様性ということだということを言わなければならないと思っています。

未だ道半ば 教員の働き方改革

能條:
ありがとうございます。コメントで、「教員の働き方改革に取り組んで頂きたいです。人間の働き方ではないです、残酷すぎます。」ときていますが、こちらに関してはいかがですか?

小川:
問題はいくつかあって、まずクラスの人数が多すぎます。私の時は40人から45人位でしたが、北欧のようにきめ細かい教育をしているところは1クラス15人位です。
そして先生は土日まで部活動の対応をされています。さらに、日本の教員には残業代が支払われないことが法律で決まっていて、それも改善しなくてはいけません。
子供のためにも先生のためにも、この3つの角度から抜本的な改革が必要かと思います。

能條:
裁判が起きたり、文科省の#教師のバトン(ハッシュタグ)に乗っかる形で声が上がってきていると思いますが、(教員の改革について)変わってきている感覚はありますか?

小川:
そうですね、部活動を地域化する動きが具体化するはずで、認識の共有はされつつあります。
ですが、残業代や法律上の課題がまだまだ残っていると思います。

日本を競争力ある福祉国家に!政治への信頼感が不可欠

能條:
最後に、10代や20代を中心とした視聴者の方にメッセージを頂けますか?

小川:

もう一つ見せたいと思っていたのが、このスウェーデンの社会科の教科書で、社会と自分がいかに切り離せないか、自分の政治参加によってどのように社会が変えられる可能性があるのかを教えています。

(本『あなた自身の社会 スウェーデンの中学教科書』を見せながら)

僕はやがて日本を、超高齢化社会にふさわしい競争力のある福祉国家に作り変えていきたいと思っています。
それは北欧型の社会に近くて、ある程度の国民負担で学費や医療費、年金や介護の心配がない社会です。
また、スウェーデンではH&MやSkype、Spotifyのように新しい産業がどんどん生まれ、雇用も動的に安定しています。
動的に安定するというのは、日本のように新卒で入社した会社で一生勤めあげるのではありません。
日本もこうした社会に移行していく必要があると考えていて、そのための鍵になるのは結局政治への信頼です。
10年以上前にスウェーデンに行った時に驚いたのが、現地の人が「私たちの国では政治家が汚職をするなんて信じられません」と言ったことです。日本は逆ですよね、政治家が汚職をしないなんて信じられませんよね。
ですが、(スウェーデンでも日本でも)政治家を選ぶのは国民であるという点で同じです。
両国の違いの1つは投票率で、日本は50%、スウェーデンは90%です。
また、スウェーデンの家庭では子供に支持政党を持ってその理由を説明できる大人になるように教育されます。
一方、日本の家庭では「学校や外で政治の話はするな、変わった子だと言われる」と教えられ、18歳になるといきなり投票に行くように言われます。
(投票に行くことに)どんな意味があるのか教わったことのない子供を大量生産していることが低投票率に繋がり、「嘘つきだ」と言われるような政治家を国会に送り続けて今のような社会を作ってしまいました。
このような大人たちを育てた大人もまた同じような教育を受けてきていて、今の若い世代も子育てで同じことをやってしまう。
おそらくこの先の世界で、民主主義が本当に良いのかという議論が起きますがその時にどこかでこの負の連鎖を断ち切らなければなりません。
昔の国民年金の掛金は月に100円で今は1万6000円です。社会保険料は昔は給料の3%で、今は30%です。
このような、可処分所得としてお金を使う余裕の無い社会を放置してきた責任を感じるとともに、若い世代の苦しさや憤りを十分に想像しながら、それでも諦めずに一緒にやっていこうと呼びかけていきたいと思います。

能條:
今日のお話を伺いながら、(政治家が)勝手にやっておくから任せていいよという形ではなく、参加していく必要があると感じました。お忙しい中、ありがとうございました!

小川:
ご視聴いただいた皆様、本当にありがとうございました。季節が変わりますからお体に気を付けてお過ごしください。またお目にかかれるのを楽しみにしております。ありがとうございました!

次回のライブもお楽しみに!

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(記事執筆:西田菜緒)

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