指定管理者応募ゼロで再公募へ 県立美術館、図書館 物価高影響か

県と県教委が指定管理者を再募集している県立美術館(左)と県立図書館

 岡山県と県教委は15日、2023年度から5年間の県立美術館(岡山市北区天神町)と県立図書館(同丸の内)の指定管理者公募で、応募がいずれもゼロだったと明らかにした。県側が提示した管理料では急激な物価高騰に伴うコストの増加分を賄いきれないとして敬遠されたとみられ、手続きの遅れなどを生じさせないよう管理料を約3割増額して再募集に踏み切る。

 県によると、05年度に県有施設に指定管理者制度を導入して以降、再公募するのは初めて。同日の県議会常任委員会で報告した。

 県立美術館と県立図書館では来館者への対応といった運営自体は県側が直轄し、施設の維持管理業務のみ民間の指定管理者に委ねている。公募は現在の管理者の期限が切れる23年3月を前に今年8~10月に実施した。

 県が説明会に参加した企業に行った聞き取りでは、業務に要する資材価格の上昇に加え、物価高に連動した人件費の増加も見込まれることから、採算面で厳しいとして応募を見送ったという。

 これを受けて県などは管理料の上限額を見直し、県立美術館は4億4166万円から5億7084万円、県立図書館は2億8861万円から3億7753万円に増額。今月16日から1カ月間、再び公募することとした。

 県行政改革推進室は「美術館、図書館とも県の重要な施設。今回は急激な物価高の影響を受けたが、サービスが低下しないように進めたい」としている。

 県立美術館は1988年、県立図書館は2004年に開館。いずれも07年度から指定管理者制度を導入している。

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