「守るために娘を殺した」所沢の15歳少女殺害、母親は「心神喪失」無罪を主張 検察側「影響は限定的」

さいたま地裁=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 2020年8月、埼玉県所沢市の自宅で娘=当時(15)=を殺害したとして、殺人の罪に問われた東京都港区赤坂、無職の女(54)の裁判員裁判の初公判が15日、さいたま地裁(北村和裁判長)で開かれた。女は「書かれていることに間違いありません」と起訴内容を認め、弁護側は統合失調症の圧倒的な影響があったとして心神喪失で無罪を要求。認められない場合は、心神耗弱で減刑されるべきとした。

 冒頭陳述で検察側は、犯行当日、女は娘との口論による関係悪化から殺害を決意したと指摘。「精神安定剤を複数個、紅茶に溶かして飲ませ、娘を昏睡(こんすい)状態、または、動けない状態にして首を複数回刺した」と述べ、統合失調症の影響は限定的とした。

 一方弁護側は、娘を守りたいと思っての行動だったと説明。「娘が知らない男に殺されると思い、守るために娘を殺した」とし、統合失調症の圧倒的な影響があったと述べた。また、女が犯行後、自身の首を刃物で刺したことで、逮捕前の取り調べを筆談で実施したことに触れ、「筆談での取り調べは余儀なくされたもので自白に任意性はない」とし、不適切な取り調べだったと主張した。

 起訴状などによると、女は20年8月17日午後1時半ごろ~同月18日午前8時7分ごろ、所沢市の自宅で娘=当時(15)=の左頸部(けいぶ)を包丁で複数回突き刺し、殺害したとされる。

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