訪日クルーズ 来年3月再開 長崎県内、経済効果に期待 欧米圏の誘致目指す

長崎に寄港し、観光やショッピングに向かう中国人をはじめとしたクルーズ船の乗客=長崎港松が枝国際ターミナル(2016年12月6日)

 国際クルーズ船の受け入れ再開が公表された15日、新型コロナウイルス禍前は国内有数の寄港地だった長崎県の関係者からは、再び経済効果を取り込もうとする期待と決意の声が聞かれた。
 県国際観光振興室によると、2019年の県内入港数は長崎、佐世保、厳原など計272回、乗客乗員数は計98万9096人に上った。1隻当たりの経済効果は5千万円とされる。20年は過去最多の入港数を見込んでいたが、新型コロナ禍で14回に落ち込んだ。
 来年3月以降、国内に寄港する外国のクルーズ船は166本あるが、本県への寄港予定はない。同室担当者は「アフターコロナを見据え、海外への情報発信や誘致活動を進めてきた」とし、既に海外の船会社の視察予定もあるという。
 ただ例年、全寄港数の8割程度を中国発着クルーズが占めていた。その中国では「ゼロコロナ」政策が続いており、寄港の本格的な回復がいつになるかは未知数。担当者は「まずは(欧米圏など)来てもらえる国から誘致したい」と話した。
 長崎港では20年4月、停泊中のクルーズ船で集団感染が発生。対応に追われた県はその後、感染リスクなどがある場合に入港を制限できるよう条例を改正した。大石賢吾知事は「関係業界団体が策定したガイドラインを精査しながら、感染対策に十分配慮しつつ、CIQ(税関、出入国管理、検疫)などの関係機関と早期の受け入れ再開に向けて協議する」とのコメントを出した。
 佐世保港では需要拡大を見込み、佐世保市三浦地区の国際ターミナルに加え、20年に同市浦頭地区に国際船を受け入れるクルーズセンターを整備したもののコロナ禍で入港実績がない。佐世保観光コンベンション協会の担当者は「ようやくクルーズセンターが利用される。周遊観光の仕組みをつくり、地域活性化につなげたい」と意欲を述べた。


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