ICT活用の遠隔教育推進へ 県庁で「サミット」 離島3高校の授業相互配信を報告

3校の遠隔授業の中継を見る「サミット」参加者=県庁

 情報通信技術(ICT)を活用した高校での遠隔教育推進に向けた研究発表会「遠隔教育サミット」が15日、長崎県庁であり、文部科学省職員や県内外の教育関係者約70人が参加。指定校となっている県立宇久、奈留、北松西の離島3校の授業相互配信の報告や遠隔授業の参観があった。
 文科省の委託事業。本県では離島の小規模校がネットワークを築き、互いの教育資源を結集させて多様な学びを提供できるよう昨年度から3指定校で遠隔授業に取り組んでいる。
 相互配信することで、各校に在籍する地歴科教員の専門科目しか選べなかった生徒たちの選択の幅が広がる。3校は本年度30回ほど試行。来年度は地歴科の授業を全て相互配信し、単位認定する予定だ。
 サミットでは「さまざまな人と意見交換できる」「専門の先生のよりレベルの高い授業を受けられて良かった」などと教員や生徒の感想が紹介された。一方で「話の間が取りづらく授業が進めづらい」「通信が途切れたり聞き取りづらいことがあった」などの課題も挙がった。
 北松西高から宇久高と奈留高に配信した遠隔授業を参観した長崎大情報データ科学部の高田英明教授は「昨年は試行錯誤していたが、今年は生徒目線でコミュニケーションに注力しており、さらに前に進んでいくと期待」と評価。慶応大大学院政策・メディア研究科の梅嶋真樹特任准教授は「対面の7、8割の満足度で授業設計することが、今後毎週、毎日継続していくことにつながる」とアドバイスした。


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