小中学校で授業公開 田辺市龍神村でへき地教育研究大会

オンライン授業で中山路小学校の児童と一緒に算数の授業を受ける、龍神小学校1年の大江花歩さん(15日、和歌山県田辺市龍神村湯ノ又で)

 和歌山県の県教育委員会や県へき地複式教育研究会などは15日、田辺市龍神村で第72回県へき地複式教育研究大会田辺・西牟婁地方大会を開いた。龍神村の4小学校と中学校の全5校が授業を公開し、少人数や複式の学級で工夫している取り組みを、県内外から参加した教育関係者が見学した。

 大会では、県内の小規模校やへき地指定校、複式学級がある学校が、課題の解決や教育効果を高めるための研究成果、どのように工夫して授業をしているかなどを発表。他の学校の参考にしてもらうとともに、教職員同士の交流を促し、教育の向上や充実を図るため毎年実施している。県内を五つのブロックに分けて開催しており、田辺・西牟婁では5年ぶり。

 この日は午前中に、龍神(湯ノ又)、上山路(東)、中山路(柳瀬)、咲楽(福井)の4小学校と龍神中学校(安井)がそれぞれ、各学年の授業を公開。龍神小の1年生(児童数1人)のクラスでは、中山路小1年生(児童数5人)とのオンライン授業を公開した。

 龍神小では昨年から、同学年の児童と一緒に学習することでコミュニケーション能力を培い、多様な考え方に触れるための方法として、児童数が1人だった3年生のクラスでオンライン授業を導入。現在は1年生のクラスで月に1回ほどオンライン授業をしている。

 スクリーンやテレビに互いの教室の様子や黒板を映しながら、龍神小1年の大江花歩さんが算数の授業を受けた。一緒に問題文を読み上げたり、計算の仕方を考えて発表したりして、中山路小の児童と共に学習を深めた。

 各校では公開授業の後、子どもたちが和太鼓の演奏や鼓笛の合奏、演劇、群読などを発表。また、研究協議として普段の工夫や取り組みを参加者に説明し、質疑応答の時間も設けた。

 午後からは、龍神村安井の龍神市民センターで全体会があり、和歌山大学の豊田充崇教授が「へき地・複式・小規模校における情報教育」と題して講演した。情報通信技術(ICT)教育の在り方やオンラインでの遠隔合同授業の事例、タブレット端末を活用した教育効果などについて説明し、これからのICT教育のポイントも語った。

 県へき地複式教育研究会と田辺・西牟婁へき地複式教育研究会の会長を務める、龍神中学校の新行靖校長は「講演では、へき地や学校の規模にかかわらず、どこにいても子どもたちの力を伸ばす可能性のヒントを頂けたと思う。教職員の意識を高めることが、地域にへき地があっても教育にへき地をつくらないということにつながる。大会を通して、頑張ってくれている各校の工夫や取り組みを広く知ってもらい、教育効果を高めていきたい」と話した。

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