IQM:ユニモン - 有用なアプリケーションのための量子コンピューターを促す新しい量子ビット

フィンランド・エスポー--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- IQMクオンタム・コンピューターズ、アールト大学、フィンランドVTT技術研究センターの科学者グループは、量子計算の精度を高めるための新しい超伝導量子ビットとなるユニモンを発見しました。研究チームは、ユニモンを用いた初の量子論理ゲートを99.9%の精度で実現し、商業的に有用な量子コンピューターを追求する活動において、重要な節目となる成果を達成しました。この重要な研究成果は、ネイチャー・コミュニケーションズ誌に掲載されたばかりです。

有用な量子コンピューターを構築するためのさまざまなアプローチの中で、超伝導量子ビットがリードしています。しかし、現在使われている量子ビットの設計と技法では、まだ実用的なアプリケーションに十分な高い性能は得られていません。この「ノイズがある中規模量子コンピューター」(NISQ)時代において、実装可能な量子計算の複雑さは、ほとんどが1量子ゲートや2量子ゲートにおける誤差によって制限されています。量子計算が有用であるためには、より精度が高くなる必要があります。

この研究を主導したミッコ・メットネン(アールト大学およびVTTの量子技術共同教授、IQMクオンタム・コンピューターズの共同創設者で主任科学者)は、次のように述べています。「私たちの目標は、実世界の問題を解決するのに有用な量子コンピューターを構築することです。本日の発表はIQMにとって重要な節目となる出来事であり、より優れた超伝導量子コンピューターを構築するための大きな成果です。」

IQMは本日、非調和性の向上、直流電荷ノイズに対する完全な無感性、磁気ノイズに対する感度の低減、共振器内の単一のジョセフソン接合のみから成る簡素な構造という望ましい特性を単一回路にまとめた新しいタイプの超伝導量子ビットとなるユニモンを発表しました。研究チームは、3種類のユニモン量子ビットを用いた13ナノ秒の単一量子ビットゲートにおいて、99.8%から99.9%の忠実度を達成しました。

IQMで博士号取得の研究を行っているエリック・ヒュッパは、次のように述べています。「トランスモンよりも非調和性ないし非線形性が高いため、ユニモンをより高速に動作させることができ、動作ごとの誤差低減につながります。」

科学者らは、ユニモンを実験的に実証するために、3つのユニモン量子ビットで構成されるチップを設計・製造しました。超伝導材料にはニオブを用い、ジョセフソン接合の超伝導リード線はアルミニウムを使用して製造しました。

メットネン教授は、「この大きな成果を達成するためにたゆまぬ努力を行ったエリックと他のチームメンバーに感謝し、お祝いを述べたいと思います」と述べました。

研究チームは、ユニモン量子ビットが比較的高い非調和性を持ちながら、何らのスーパーインダクターも用いずに単一のジョセフソン接合のみを必要とし、ノイズ耐性を持つことを測定しました。ユニモンの幾何学的インダクタンスは、従来のフラクソニウムやquartonという量子ビットの接合アレイ型スーパーインダクターよりも高い予測可能性と収率を実現する可能性を持っています。

「ユニモンは非常に簡素でありながらも、トランスモンと比べて多くの利点があります。まさに史上初めて作られたユニモンがこれほどうまく動作したということは、最適化と大きなブレークスルーの余地が十分にあることを示しています。次の段階としては、ノイズ対策をさらに一層強化するための設計を最適化し、2量子ビットのゲートを実証することです」(メットネン教授)

IQMの商用量子コンピューターは、現在もトランスモン量子ビットを使用しています。IQMは既に、トランスモンを使用して、オンプレミス型の量子コンピューターを提供しています。例えば、IQMはフィンランドのVTT技術研究センターとの共同イノベーションプロジェクトの一環として、フィンランド初の54量子ビットの量子コンピューターを構築しており、IQM主導のコンソーシアムであるQ-Exaも、スーパーコンピューターに統合するための20量子ビットの量子コンピューターをドイツで構築中です。今回発明されたユニモンは、将来的に量子計算の精度向上につながる可能性のある代替量子ビットとなります。

メットネン教授は、次のように締めくくっています。「私たちは、ユニモンの設計・材料・ゲートタイムのさらなる改善により、ノイズのあるシステムで有用な量子的利点を得るための99.99%という忠実度の目標を突破し、効率的な量子エラー訂正を行うことを目指します。今日は量子コンピューターにとって非常にエキサイティングな日です!」

IQMクオンタム・コンピューターズについて:

IQMは、量子コンピューターの構築における汎欧州のリーダーです。IQMは、オンプレミス型の量子コンピューターをスーパーコンピューティング・データセンターや研究施設に提供し、当社ハードウエアへの完全なアクセスを提供します。産業分野の顧客には、独自の特定アプリケーション向け協調設計の手法を通じて、量子の優位性を提供できるよう懸命に努力しています。IQMは、フィンランド初の54量子ビット量子コンピューターをVTTと共同で構築しています。また、IQMが率いるコンソーシアム(Q-Exa)がドイツで量子コンピューターを構築しています。このコンピューターはHPCスーパーコンピューターに組み込まれ、将来の科学研究用量子アクセラレーターを作り出そうとしています。IQMは、200人以上の従業員を擁し、パリ、マドリード、ミュンヘン、エスポーにオフィスを置いています。

本記者発表文の公式バージョンはオリジナル言語版です。翻訳言語版は、読者の便宜を図る目的で提供されたものであり、法的効力を持ちません。翻訳言語版を資料としてご利用になる際には、法的効力を有する唯一のバージョンであるオリジナル言語版と照らし合わせて頂くようお願い致します。

Contacts

Contact:
Mikko Möttönen, Co-Founder and Chief Scientist
Email: Mikko@meetiqm.com
Mobile: +358 45 106 6884

Media Contact:
Raghunath Koduvayur, Head of Marketing and Communications
Email: Raghunath@meetiqm.com
Mobile: +358 50 4876509
www.meetiqm.com

© ビジネスワイヤ・ジャパン株式会社