「全国民で核廃絶運動を」 被団協・木戸事務局長 長崎で講演

核なき世界の実現に「国民的運動として取り組もう」と呼びかけた木戸事務局長=長崎市筑後町、セントヒル長崎

 長崎で被爆した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の木戸季市(すえいち)事務局長(82)=岐阜市=が16日、長崎市内で講演し、ロシアのウクライナ侵攻で核兵器使用のリスクが現実味を帯びる中、核廃絶運動は「被爆者や被爆2、3世だけの小さな範囲ではなく、全国民がつくり上げなければいけない」と強調した。
 5歳の時、爆心地から約2キロの旭町(現在の光町)で被爆し、顔の左半分にやけどを負った。約30年前から被爆者運動に携わり、核兵器禁止条約第1回締約国会議(6月・オーストリア)、核拡散防止条約(NPT)再検討会議(8月・米国)でも核廃絶を訴えた。
 講演で爆心地周辺の惨状や戦後受けた差別などを明かし「被爆者は生きている限り、命、体、暮らし、心の被害が続く。私たちは世界の誰にも同じ体験をしてほしくないと闘ってきた」と証言。「被爆者がいなくなる日が近づいている。核廃絶は全ての人類に与えられた未来の課題。被爆80年を前に新しい核廃絶運動をつくろう」と呼びかけた。
 講演は核廃絶運動に取り組む県生活協同組合連合会の「第51回県生協大会」の一環で、約70人が出席。県生協連を代表しNPT再検討会議に参加した県立大大学院1年の松田あすかさん(23)も、現地での被爆者サポートや交流活動について報告した。


© 株式会社長崎新聞社