3教諭の尋問請求は却下 那須雪崩事故訴訟で宇都宮地裁 次回結審の見通し

宇都宮地裁

 那須町で2017年3月、登山講習会中だった大田原高山岳部の生徒7人と教諭1人が死亡した雪崩事故を巡り、5遺族が県や県高校体育連盟、講習会の責任者だった教諭ら3人に計約3億8500万円の損害賠償を求めた訴訟の第4回口頭弁論が16日、宇都宮地裁で開かれた。浅岡千香子(あさおかちかこ)裁判長は遺族側5人の当事者尋問を行うことを決めた一方、遺族側が求めていた3教諭の尋問は却下した。次回、来年3月8日の口頭弁論で結審する見通し。

 遺族側が請求してきた3教諭への尋問について、教諭側は業務上過失致死傷罪に問われた刑事裁判への影響があるとして、「(法廷に)呼び出されても供述することはない」と主張。浅岡裁判長も「(尋問の)必要性はない」と認めた。

 審理では、遺族側が事故発生当時の現場の状況を再現した約20分の映像を大型モニターに映し出した。事故当日の現場のニュース映像や生徒らの行動を再現したCGを組み合わせた。「雪崩発生の可能性の高い状態にもかかわらず、下見や安全確認もなしで斜面に50名近くが足を踏み入れた」などと危険性を訴えた。

 映像を約半年かけて制作した奥公輝(おくまさき)さん=当時(16)=の父勝(まさる)さん(51)は閉廷後、「裁判官が見て当時の状況が分かるようなものを作りたかった。しっかりした判断をしてもらえる手応えがある」と話した。

 3教諭の尋問を却下されたことについては「教諭の考えを知ることが大きな目的だったので、すごく残念。直接質問できる刑事裁判に期待したい」と語った。遺族側代理人は取材に、公務員の職務で発生した損害賠償責任は原則、国や自治体が負うとする国家賠償法を踏まえ「まだ分からないが、(裁判所は)国家賠償法の枠組みの中で判断するのかもしれない」と述べた。

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