【米国】金利上昇・建設費の高止まりで新築2ケタ減

今年10月にアメリカの住宅ローン金利は約20年ぶりの高水準となり、30年固定住宅ローン金利に関しては7%を突破した。こうした継続的な金利上昇に加え、建設費の高止まりと消費者需要の低迷により、9月の新築住宅販売は2桁の減少率となった。

米国商務省国勢調査局がこのほど発表したデータによると、2022年9月の新築一戸建て住宅販売件数は60.3万件(季節調整済み)で、8月の67.7万件(下方修正値)から10.9%減少した。73.2万件であった昨年9月と比べると、17.6%も減少している。8月の新築住宅販売は市場予想を大きく上回って増加していたが、伸びは一時的なものとなった。

新築住宅販売は売買契約の締結、あるいは手付金の受理が行われた時点で発生するため、販売された住宅は未着工・建設中・竣工済みのどの段階であってもよいとされる。また、データにはキャンセルが反映されておらず、全米住宅建設業協会のデータによると、キャンセルの数は1年前と比べて2倍以上に増加している。

地域別の新築住宅販売件数(年初来)を見ると、北東部がマイナス8.1%、中西部がマイナス21.2%、南部がマイナス12.1%、西部がマイナス17.6%で、全地域で減少した。

新築一戸建て住宅の在庫は46.2万件で、6か月分に近い水準が良いバランスであると見なされる中、9.2か月分と高水準で推移した。このうち、竣工済みで入居可能な住宅在庫は全体の約12.1%に過ぎず、残りは建設中か未着工となっている。

住宅販売価格の中央値は47万600米ドル(約6570万円)で、前年同月比で13.9%増加した。住宅価格の平均値は51万7700米ドル(約7228万円)だった。価格の上昇には、建設費の上昇が反映されているとみられる。

全米住宅建設業協会のジェリー・コンター会長は今回発表されたデータについて、「住宅不況が続く中、建設業者はアフォーダビリティ(住宅の適正費用負担)の低下による買い手の減少に直面し続けている」と懸念を示し、「建設業者のセンチメントは10か月連続で低下している。高額すぎて手が出ない初回購入者や移民一世の購入者が増えており、物価高の地域におけるエントリーレベル市場が特に影響を受けている」と分析した。

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