資産にも大きな開き…金融リテラシーが高い人と低い人の違いとは? 初心者が知識を身につける方法をお金のプロが解説

「金融リテラシー」という言葉を聞く機会が増えました。

さて、あなたは金融リテラシーがある方でしょうか。それとも、あまりない方でしょうか。

世の中にはお金の情報があふれるほどあり、いつでもアクセスできる時代です。ですが、そもそも金融リテラシーがないと、いくら情報を収集しても、怪しい情報をつかんでしまう危険性もあるため注意が必要です。

今回は金融リテラシーが高い人と低い人の違いや、金融リテラシーをつけるにはどうしたらよいかについてお伝えします。


リテラシーが高い人ほど、金融資産が多い?

金融リテラシーが高い人と低い人とでは、どんな違いがあるのでしょうか。

金融広報中央委員会「金融リテラシー調査2022年の結果を見ていきましょう。

同調査では、「人生の3大費用とは(ちなみに正解は教育費、住宅費、老後資金)」「保険や住宅ローンの基礎知識」「聞いたことがない金融商品を購入するときの判断方法」といった、金融知識に関する正誤問題への解答に対して点数化を行っています。

正答率20%以下を「低リテラシー層」、正答率84%以上を「高リテラシー層」と便宜上定義しており、その2つをピックアップして見ていきます。

リテラシーは「金融資産」にも比例

Q)金融資産は?
低リテラシー層…「金融資産がない」20.9%、「資産2000万円以上」3.5%
高リテラシー層…「金融資産がない」3.6%、「資産2000万円以上」31.2%

まず、金融資産の違いを見ると、高リテラシー層で金融資産がない人は3.5%にとどまっていますが、低リテラシー層の人は5人に1人の割合で金融資産がないと回答しています。一方で、高リテラシー層で2000万円以上の資産がある人は、3人に1人もいました。

リテラシーが高いから資産が増えたのか、増えたことでリテラシーがついていったのか、どちらが先かはわかりませんが、関連性が非常に高いことがわかります。

「金融経済情報を見る頻度」にも比例!

Q)「金融情報を見る頻度」は?
低リテラシー層…「ほぼ毎日」(23.0%)、「週に1回程度」(9.4%)、「まったくみない」(46.4%)
高リテラシー層…「ほぼ毎日」(53.8%)、「週に1回程度」(23.2%)、「まったくみない」(3.5%)

金融経済情報を見る頻度も、リテラシーは比例していました。高リテラシー層は、ほぼ毎日、週に1回程度があわせて6割近くになりますが、低リテラシーは、あわせても3割ほど。まったくみない人が、低リテラシーは半数近くもいます。

金融商品購入時に、他の商品と比較するかでも差が

Q)金融商品(運用商品)購入時、他の商品と比較しますか?
低リテラシー層…「比較したうえで資産運用を行った」(5.4%)、「比較せず資産運用を行った」(4.3%)「資産運用は行わなかった」(90.3%)
高リテラシー層…「比較したうえで資産運用を行った」(38.2%)、「比較せず資産運用を行った」(11.9%)「資産運用は行わなかった」(49.9%)

株や投資信託、外貨預金など、運用商品を購入するときに、他の商品と比較したかどうかでも違いがあります。高リテラシー層で比較した人は40%近くいましたが、低リテラシー層はたった5%ほど。そもそも、資産運用をしていない人は、低リテラシー層では90.3%と、かなりの割合を占めました。

緊急時の資金面ができているかにも違いが

Q)緊急時の資金面の備えは?
低リテラシー層…「確保している」(24.0%)、「確保していない」(36.7%)、「わからない」(39.3%)
高リテラシー層…「確保している」(83.2%)、「確保していない」(13.9%)、「わからない」(3.8%)

いざというときの資金を確保している人は、高リテラシー層では80%以上ですが、低リテラシー層は24%にとどまりました。「わからない」と答えた人が、高リテラシー層が3.8%に対して、低リテラシー層は40%ほど。低リテラシー層は、緊急時への資金準備の意識が低いことがわかります。

これからの結果を総合的に見ると、リテラシーがあることで、いざというときの備えができていたり、資産アップに向けて動いていたりということがわかります。リテラシーがあれば、安心して豊かな生活を送れるイメージがわいてくるのではないでしょうか。

「実はお金のこと、あまりよくわかっていないな…」と密かに思っている人は、ぜひこの機会に金融知識を少しずつ身につけていきたいですね。

金融リテラシーをつけるには、公的機関の情報から見てみる

では、「金融リテラシー」を身につけるには、どうしたらよいのでしょうか。

WEBにはたくさんの情報があふれていますが、じつに玉石混交です。偏りがあったり、特定の商品を買うために書かれていたりといったケースも多いので要注意です。

しかも、金融リテラシーが低いうちは、どれが正しい情報なのか見分けがつかないことも多いでしょう。

そんなときは、公的機関の情報を見て学ぶのがおすすめです。WEBで無料で見られるものがたくさんあります。

たとえば、金融庁のHPにて、高校生向け授業動画「高校生のための金融リテラシー講座」があります。
金融庁「高校生向け授業動画・教員向け解説動画」

2~20分ほどの動画が数本ありますので、少しずつ見ていくのもいいと思います。

また「基礎から学べる金融ガイド」という家計管理から生活設計、預貯金、株式、保険など、基礎情報をしっかり学べるPDFも、金融庁が作成しています。

金融庁「基礎から学べる金融ガイド」

公的機関のサイトなら、まずは偏りのない情報を手に入れられるのでおすすめです。

雑誌のマネー特集や、マネー本を1冊読むのも手

筆者は他にも、雑誌のマネー特集をおすすめしています。自分の世代やライフスタイルなどにあった雑誌を選べば、自分の生活習慣や考え方にあったマネー情報が掲載されていて、楽しく理解できるからです。

最近は、雑誌でマネー特集を組まれることが大変増えていますので、ぜひ手に取ってみてください。

また、初心者向けのマネー本を1冊、読んでみることも効果的です。

雑誌やWEBの情報は、スペースなどの関係上、特定ジャンルに絞られがちですが、幅広く情報が網羅されている書籍を1冊通して読めば、お金情報の全体を俯瞰してみることができます。

興味が出たら、さらに2、3冊と読んでみることで理解が深まるでしょう。さまざまな著者の共通意見をつかみとることもできます。

今回は「金融リテラシー」の重要性についてお伝えしました。金融リテラシーを身につけることは、資産アップや万一の時の備えなどにつながり、自分の身を守り、豊かな生活につながります。ぜひ自分のために、少しずつ身につけてみてください。

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