「近所に住んでいるといっていたが…」職務質問で気づいた2つの“違和感” 長崎→静岡760km逃走犯逮捕の一部始終

長崎県内のコンビニから現金100万円を盗んだ疑いで、指名手配されていた男が11月15日、静岡県掛川市内で逮捕されました。このきっかけとなったのが、警察官の職務質問です。長崎から直線で760km以上も離れた掛川の警察署の署員がなぜ逮捕したのか、カギとなったのは職務質問した際に気づいた「2つの違和感」でした。

指名手配犯の逮捕につながる職務質問を行ったのが、掛川警察署西部交番に勤務する中山紘子巡査部長、鈴木譲紀巡査、名倉舞子巡査の3人です。

<中山紘子巡査部長>

「警察官になり23年。指名手配犯逮捕に関わるのは初めて」

窃盗の疑いで逮捕されたのは30代の男。2022年7月、勤務していた長崎県諫早市のコンビニエンスストアから現金100万円を盗んだ疑いで、指名手配されていました。今回の逮捕劇の一部始終はこうです。

<滝澤悠希キャスター>

「掛川市の市街地の公園です。夜間は人通りが少ないということですが、逮捕された男は、このベンチに一人で座っていたということです」

11月14日午後10時半すぎ、公園付近でパトロールしていた3人。この男に職務質問します。

<鈴木譲紀巡査>

「近くに住んでいて、よくここに来て、本を読んでいると返答があった」

しかし、話をするうちに男の2つの違和感に気付きます。1つ目は、身分を証明するものを一切持っていなかったこと。2つ目は…。

<鈴木譲紀巡査>

「シャンプーやリンスなどの洗面用具を持っていて、近くに住んでいると言っていたので、おかしいなと思った」

「近所に住む人がシャンプーとリンスを持って公園に来る」。明らかに不自然と感じた3人は男に任意同行を求め、これが逮捕につながりました。

名倉巡査は、2022年9月に警察学校を卒業したばかり。先輩たちの冷静沈着な対応を目の当たりにする貴重な機会となりました。

<名倉舞子巡査>

「私もちょっとおかしいなとは思っていたが、確証がなかったので、積極的に先輩方のようにやっていきたい」

職務質問では、すれ違ったときに目をそらしたり、立ち去ろうしたりする細かな動きも見逃さないといいます。

<中山紘子巡査>

「警察に(職務質問に)ご協力いただいてこそ、こういう結果になると思うので、市民・県民の方にこれからもご協力いただきたい」

静岡県警によりますと、静岡県内で起きた事件の容疑者逮捕の7割が交番勤務などの警察官がかかわっていて、職務質問も事件解決の大きなきっかけとなっています。

なお、警察では、もし私たちが、不審な人を見かけた場合は、自ら声を掛けるのではなく、まずは警察に通報してほしいと呼びかけています。

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