LRTいよいよまちへ 試運転で路上に人だかり【動画】 導入検討から30年

鬼怒通りで初の試運転をするLRTの車両=17日午後10時30分、宇都宮市宮みらい

 JR宇都宮駅東側で来年8月に開業予定の次世代型路面電車(LRT)の試運転が17日、路上で始まった。宇都宮名物の雷をイメージした黄色の車両「ライトライン」が街を走る新鮮な光景に、道行く人々が盛んにカメラを向けた。1993年の新交通システム導入検討から約30年。2度にわたる開業延期の決定を経て、LRTはいよいよ街へ繰り出した。

 試運転はこの日午前、同市下平出町の車両基地から平石停留場までの約200メートルで入線試験から行われた。午後9時からは、同停留場-JR宇都宮駅東口の約4キロで街なかを走る本格的な試運転が始まった。

 深夜に試運転を行うのは交通への影響を最小限に抑えるため。人の早足ほどの時速5キロで低速走行しながら、停留場や架線との車両の接触状況、急勾配区間での停車や発車の動作などを確認した。

 同駅に到着したのは午後10時半過ぎ。分岐点では何度も停車し、入念に車両や線路の状況をチェックしていた。車両は18日午前5時までに車両基地へ戻り、同日夜には走行速度を時速15キロまで上げて同じ区間を1往復する。

 宇都宮市と芳賀町が進めているLRT事業は2022年3月開業の予定を1年先送りし、その後23年8月に再延期となった。いずれも工事の遅れが原因。その度に試運転も遅れ、ようやくこの日を迎えた。宇都宮市の佐藤栄一(さとうえいいち)市長は試運転の前に「開業まで生みの苦しみだが、みんなで乗り越えて頑張りましょう」とあいさつし、関係者を鼓舞した。

 試運転は事業主体の両市町が実施している。来年1月からは運営会社の宇都宮ライトレールが主体となり、運転士が車両や路線になれるための「習熟運転」が同じ区間で始まる。芳賀・高根沢工業団地までの全線試運転は、同4月から始まる予定。

 

平石-宇都宮大学陽東キャンパス間の高架を試運転するLRTの車両=17日午前11時5分、宇都宮市平出町、ドローンから
LRTの車両を見ようと集まった人たち=17日午後10時40分、宇都宮市宮みらい

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