実践型インターンシップに注目 紀南の企業も関心

実践型インターンシップについて説明する山田かな子さん(右奥)=和歌山県田辺市神子浜2丁目で

 学生と経営者が協力して企業課題に取り組む実践型インターンシップ(就業体験)が、企業の成長や地域づくりにつながると注目されている。和歌山県紀南地方でも若者を地域に巻き込むきっかけになるとして、関心を持つ企業が増えてきた。

 実践型インターンシップは、人手不足などから企業が手を付けられていない将来の方向性につながるプロジェクトを若者と一定期間試す。従来の見学型や体験型と違い、1カ月以上、長い場合は1年間かけて取り組むケースもあるという。

 教育会社「TODAY(トゥデイ)」(田辺市東陽)が今月上旬、田辺市内で開いた受け入れ企業向け説明会には、建設や飲食、農業など15企業が参加した。

 説明会でトゥデイ代表の山田かな子さんは「学生と取り組むプロジェクトは、重要だが緊急でない将来への投資が適している」と説明。「若者が新しい発想を持っているとは限らないが、熱意と瞬発力がある。本気で取り組むプロジェクトを設計し、やってもらうのではなく一緒に取り組むことが大切」と話した。

 今夏、「実践型」を初めて導入した田辺自動車学校(田辺市新庄町)の野村晃大社長は「学生に教えることを通じ、会社に活気が出るし、コミュニケーションも深まった。私たちの気付きも多かった」と報告した。

 石川県七尾市のまちづくり会社「御祓(みそぎ)川」代表の森山奈美さんは、地域課題に挑戦する若者を誘致している実践型インターンシップや地域企業の人材研修・採用支援の事例を紹介。「経営者は取り組むべき課題を言語化する能力が必要」と助言した。

■高校生とつながろう

 トゥデイは、県内の高校生向けに県内企業と連携したキャリアプログラムを始める。高校生は地元企業が出す「事業課題」の解決策を考えながら、地域を学ぶことができる。企業も若者の生の声をビジネスに生かせる機会になるという。

 プログラムは来年1月15日から2月12日まで全5回。毎回2社が企業紹介の後、高校生に考えてもらいたい事業課題、例えば「中高生の来店を増やすにはどうすればいいか」などを提示する。高校生は議論して、解決案を発表する。

 事前と事後に研修会を設け、「なぜ働くのか」「どう生きるのか」などを考える。参加者や企業との交流会も予定している。

 「大学や専門学校卒業後の進路を考えたい」「やりたいことが分からない」「将来に漠然と不安がある」といった高校生が対象。高校を通じ、参加を呼びかける。

 連携企業も10社募集している。経営者か同等の決定権がある人が対象。高校生の議論の場に入り、意見交換を活発化する助言役も募集している。

 いずれも問い合わせはトゥデイ(day.day.day.today@gmail.com)へ。

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