三条信用金庫(新潟県三条市)、強盗対応と特殊詐欺被害防止の訓練実施

三条信用金庫(新潟県三条市)と三条警察署は18日、強盗への対応訓練と特殊詐欺被害の防止訓練を実施した。

三条信用金庫では例年、強盗を想定した訓練を行なっていたが、感染症禍の影響もあり今回は数年ぶりの実施。訓練の舞台となった三条市の本店以外にも、各支店から職員が見学に集まった。また、近年特殊詐欺の被害件数が増えていることから、振り込み詐欺の被害を未然に防止する訓練も行った。ATMを用いた詐欺の防止訓練は、三条信用金庫にとっては初めてであるという。

18日夕方に行われた訓練では、強盗役の三条署の警察官が、窓口で鞄へ金を詰め込むよう要求。強盗役が模擬の刃物をちらつけせ、大声で職員を脅して催促するなか、職員たちはそれぞれ非常ボタンを押したり、警察到着までの時間を稼ぎつつ対処。強盗役が逃走した際には、実際にカラーボールも投擲した。

訓練後、三条署生活安全課の片桐翔平係長は「今回は短時間ですぐに逃走する犯人を想定して実施した。窓口で声をかけられた職員がすぐに連携をとっている点や、時間を引き延ばしつつ対応する点が非常に良かった。また(強盗のような緊急時には)犯人の背格好や服装は1人ではなかなか記憶しきれない。覚えている情報を(職員同士で)共有して通報してもらえると、非常に有益な情報になる」と職員へ講評とアドバイスを述べた。

また、強盗役の警察官は本店職員には伝えずに、訓練が始まる数時間前、「下調べ」のために来店していたことを明かした。「実際の強盗では基本的に犯人は下見をする。来店者に不審な動きが無いか、より気を配ってほしい」と注意を呼びかける。

訓練の様子 模擬の刃物を持ちながら職員へ指示を出す強盗役

訓練の様子 被害者役を説得する職員

訓練後の講評の様子、今回の訓練には本店以外にも支店の職員が見学に訪れた

一方で、振り込み詐欺の防止訓練は、窓口の振り込みと、被害者が詐欺の犯人から電話で指示を受けつつATMを操作している、という2つの想定で実施。ともに、詐欺の犯人を信じ切って振り込みを止めようとしない高齢被害者役に、三条信用金庫の職員は粘り強く説得を試みていた。

「市役所の職員を騙り、介護保険料の払い戻しなどがあると偽って高齢者を狙うケースが多い。被害者は事前の連絡で信じ込んでいるので、気がついたら何十万何百万円も払い込んでしまっている。今回の訓練で、窓口が閉じた後にも被害が発生しているということを理解し、ATM利用者の様子もよく見て異変を察知してもらえるようになってもらえたら」(片桐係長)

三条信用金庫本店の長谷川宗克店長は「(事例は少ないとはいえ)強盗はいつ突発的に発生するかわからないので訓練は重要。一方、特殊詐欺は巧妙化している現状がある。その時々に合わせて詐欺の手口も変化するので、(詐欺に使われそうな)時事のネタや、警察や金融業界から提供された事例を朝礼などの機会を通して職員へ周知している。利用者の財産を守る最後の砦として注意していきたい」と語った。

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