衆院選 自民の候補者調整本格化へ 10増10減法成立、県連は苦慮

衆院「10増10減」への対応についての言及もあった自民党県議らによる会合=18日、県議会棟

 衆院小選挙区定数を「10増10減」する改正公選法が18日、成立した。岡山県内の5選挙区は次回選挙から1減の4となり、現行選挙区を独占する自民党の候補者調整が今後、本格化する見通しだ。ただ、党県連には比例復活を含めて現職6人が所属し、限られた椅子を巡るし烈な争いも予想される。現時点で調整の行方は見通せておらず、県連は対応に苦慮している。

 「国会議員の身分に関わる極めて重大な問題。県連として軽々に申し上げることは差し控える」

 18日朝、県議会棟であった党県議による会合。県連の天野学幹事長はあいさつで、今後待ち受ける候補者調整について言葉を選びながら触れた。

 昨年10月の衆院選で自民は5選挙区のうち4選挙区で議席を確保。3区で当選した無所属新人も選挙後に自民入りし、比例復活した前職を含めて6人がひしめいている。

 四つになった選挙区に誰をどう割り当てるのか―。新旧の区割りを重ね合わせてみると、新たな岡山2、4区は現行エリアを基本に一部区域が加わる構成。半面、新1区と新3区は従来の1、3、5区が複雑に混じり合い、各議員の地盤が競合する。

 とりわけ調整が難航しそうなのが新3区だ。エリア内に地盤を持つ現職は3人。「現職閣僚であったり、名門の看板や有力組織を背負っていたりと、いずれも選挙区を簡単に手放すとは思えない」と県内のある政界関係者はみる。

 10増10減に合わせ、比例中国ブロックの定数が1減の10となったことも状況を難しくさせている。中国地方では広島、山口県も小選挙区が1減となり、比例順位を巡る調整が厳しさを増すとみられるためだ。

 調整のスケジュールや手法は現時点で未定だが、党を挙げて戦う4年に1度の統一地方選が来春に迫り「エリアの顔となる衆院候補者を早く決めてほしい」と、ある党県議は言う。

 改正公選法の成立を前に、山陽新聞社は党現職の6氏に対し、希望選挙区などを尋ねたが、いずれも「今後、県連、党執行部と調整する」などと明言を避けた。

 生き残りを懸け、情勢を慎重に見極める各陣営。現職議員の一人は「思いがあっても口にすると、こじれて収拾がつかなくなる。選挙区1減が与える影響は極めて大きい」と複雑な胸の内を明かした。

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