「捨てずに違うものに生かせないか」規格外のミカンがドライフルーツティーに 毎年60㎏廃棄…もったいないから生まれた農家の知恵【SDGs】

傷などがあって規格外になった果物をお茶として製品化することに静岡県伊東市の農園が成功しました。もったいないから生まれた農家の悩みを解決するSDGsの取り組みです。

<後藤純子さん>

「今年は摘果が良くて、いい実がなってます。前は小さいのが結構あって」

伊東市の後藤さんは、約3300㎡の農園でミカンを中心にレモンやブルーベリーなどを育て、農協に出荷しています。まもなく、青島みかんの収穫の最盛期を迎えますが、農家には悩みのタネがあります。

<純子さんの娘 後藤由香さん>

「いっぱい傷ができているものもある。見栄えが悪いものは商品にならない。B級品になる。B級だが、中が変わるかって言ったら変わらないです。味も全然おいしいです」

後藤さんの農園では、毎年60kgほどのミカンが廃棄されるといいます。両親が育てる果樹園を手伝いながら、見た目だけで廃棄されるミカンを目の当たりにしてきた娘の由香さん。捨てるには忍びないと感じ、考えたのがドライフルーツティーです。

<後藤由香さん>

「私自身が中国の方に行っていて、中国にはいろんなお茶があるんです。そこでドライフルーツティーにも出会い、そこでドライフルーツティーを作ってみようという考えになりました」

後藤さんは3年前、静岡県の友好交流研修生として、中国の浙江省を訪問。そこで中国の様々な食文化に出会いました。

<後藤由香さん>

「中国は乾燥させることが好き。お茶でもいろいろありますし、食べ物でも乾燥しているものが多いんです。漢方茶とか、すごくお茶文化が楽しかったので、そこから(アイデアを)得ました」

帰国した後藤さんは、自宅でドライフルーツティーの商品化に取り組みます。温度や乾燥時間など試行錯誤しながら、2021年、商品化に漕ぎつけました。ドライフルーツにしたミカンを入れた紅茶を注ぐときれいなオレンジが映えます。

<神谷修二記者>

「紅茶とみかんの相性がすごくいいですね。みかんの甘さが伝わってきます。すっきりしていておいしいですね」

現在、観光施設やホテルなど6か所でおみやげ品として販売しています。出荷できないミカンをドライフルーツにしてから廃棄する量が減ったといいます。

<後藤純子さん>

「小さいミカンはうちにあっても食べないですよね。ドライフルーツにした方がホントに何も残らないくらいやってくれるから無駄がないですね」

<後藤由香さん>

「アイデア次第かなって思います。もったいないものでも、捨てるんじゃなくて、違うものに生かせないかとか違うものを作り出せないか、考え方かなって思います」

地元のモノを大事にすることが食品ロスの削減やSDGsにつながっています。

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