来年の「G7広島サミット」まであと半年です。主要7か国の首脳が一堂に介するサミットは、世界中から注目を集めます。広島県の特産品を世界に売り込むチャンス!という期待も高まっています。
「きょうはカウントダウンボードの製作に入る初日になります」
広島・廿日市市にある宮島工業高校です。生徒たちが製作しているのは、サミットまで残りの日数を表示するカウントダウンボード。
世界から注目が集まるサミットに携わる…。自然と作業にも力が入ります。
表示する日数にも生徒たちの写真を使う工夫をします。
宮島工業高校 2年 竹本翔海さん
「同じ画面だとつまらないというのと、宮工生もPRしないといけないので、制服バージョンや実習服バージョンなど、いろいろ考えています」
デザインにもこだわりが…。
宮島の大鳥居に折り鶴や鯉…。手を取り合う人型をあしらうことで協力や協調を表しているといいます。
宮島工業高校 2年 石塚和美さん
「折り鶴は、広島としては平和の象徴であるので。完成させたものをいろんな人に見てもらいたい」
カウントダウンボードの製作は、県内の複数の高校で進められ、それぞれ、サミットまで150日前となる来月20日までに完成させる予定です。
寺岡俊 記者
「G7サミットへの期待は、ここにも表れています。こちらには広島ならではの商品を紹介するコーナが設けられました」
開催の機運が徐々に高まる中、おりづるタワーでは今月7日から国内外の人に知ってほしいと広島の逸品を集めたコーナを設けました。お好み焼きやカキといったメジャーなものは、もちろん…。
宮島に自生している「浜香」を使ったハーブティーや、レモンの果汁とオイルと使い、プチっとした食感が特徴の「瀬戸内レモンジュエリー」など、知る人ぞ知る商品も紹介しています。
おりづるタワー 大黒淳子さん
「広島って本当にいいところなんだよっというのをアピールしていきたいですし、G7が終わった後も広島に興味を持っていただいて、お越しいただいたらいいなと思っています」
店内には、G7にちなんだ商品も…。
7か国の国旗をイメージしたボールペンの販売も始めました。
広島での開催をチャンスととらえ、今後もサミットにちなんだコーナーを増やしていきたいとしています。
ことし5月、アメリカのバイデン大統領が来日した際、2つの県産品に注目が集まりました。
1つは、県東部・神石高原町のブランド牛「神石牛」です。
首脳会談の一環としてテーブルを囲んだワーキングランチ。そこで振る舞われたのが、「神石牛ヒレ肉のグリル」でした。
大統領をもてなした食材として突如、注目を集めました。
そして、もう1つは、「広島レモンサイダー」です。
日米首脳の夕食会で、お酒を飲まないバイデン大統領との「乾杯」のために出されたメニューが、広島レモンサイダーでした。
そのことが伝えられると、製造するJA広島果実連には注文が殺到…。すさまじい反響があったといいます。
JA広島果実連 川田洋次郎 代表理事会長
「一気に発注が来まして、再発注、再発注ということで、たいへん反響は大きかったですね」
県内では、多くて1日10本程度の売れ行きが10倍近くにはね上がった店も…。
東京にある広島のアンテナショップでも広島レモンサイダーは売り切れ…。
在庫もなくなったため、生産計画を前倒しして対応したといいます。
川田洋次郎 代表理事会長
「その後の反響で、こっちがぶったまげたという感じでしたね」
広島レモンサイダーは、2011年に販売を始めました。
製造のきっかけは、この年の収穫シーズンに記録的な寒波が襲い、レモンの皮が傷んで出荷できなかったことです。
広島のレモンが今ほど注目されておらず、何とか売り込もうと考えていた時期でもあったといいます。
川田洋次郎 代表理事会長
「長年かけて広島県の特産品をなんとか作っていこうとやってきた、ある意味では成果みたいなものが象徴されたような場面かなというような気がします」
川田さんは、G7広島サミットで各国の首脳らが広島の食文化や食生活に触れてほしいと語ります。
川田洋次郎 代表理事会長
「広島の食生活の代表格と言ったら、やっぱりお好み焼きでしょう」
「みなさん、鉄板の上でですね、ヘラで食べるような体験もしていただければいいのかな。その際にですね、アルコールがダメな人は、広島レモンサイダーでも飲んでいただいてですね」
その際、デザートとしておススメしたいのが、「はっさく」だといいます。
因島が発祥地のはっさくは、ゼリーやシャーベットとして広島のおみやげとしても人気があります。
JA広島果実連 川田洋次郎 代表理事会長
― お好み焼きを食べながらレモンサイダーを飲んで?
「そう」
― デザートにはっさくゼリー?
「そう。そんなところがね、できたらなって思いますけどね。(はっさくを)レモンに続く商品というか、広島を代表するような果物に育て上げたい」
さまざまな期待が寄せられるG7広島サミットは、半年後の来年5月19日から21日まで開催されます。
― 県や広島市などで作るサミット県民会議は、サミットで県産品を活用してもらおうと、各自治体から推薦があった県産品のリストを国に提出しています。
― 食材などでは、和牛やお米・野菜、カキや新鮮な魚、柑橘系とはじめとした果物、そして広島といえば日本酒など1166品をリストアップしています。
― さらに工芸品です。筆や化粧筆、デニムや着物といった衣類、けん玉、しゃもじ、折り鶴の再生紙など、広島といえばというような工芸品を139品リストアップしています。
― 食材と工芸品を合わせると1300品ぐらいですか。全部、採用されてほしいですが、どれが話題になって、どんな反響が起こるのかというのも楽しみです。
― これらのリストなんですが、日本で開催されるサミットでもあるので、広島だけではなく、日本全国の特産品も含めて外務省がどういったものを使うのかを決めていくということです。