堀未央奈「現場はみんなが癒やし系。すごく居心地がいいです」 ――「祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録」インタビュー

玉森裕太さんが人の話を聞くことが得意な研修医・諏訪野良太に扮(ふん)し、患者が抱えるさまざまな問題や秘密をカルテから読み解くドラマ「祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録」(日本テレビ系)。ひと月ごとに各科を回り、個性豊かすぎる指導医のもとで研修医仲間と共に成長していく諏訪野。クスッと笑えて、ホロッと泣けるハートウオーミング・ミステリーです。

TVガイドwebでは、本作に諏訪野の同期研修医役として出演中の堀未央奈さんにインタビュー。堀さんが演じる橘麻友は実家が地方の総合病院で、優秀な医師と結婚し婿養子にしようとしている病院長令嬢。美意識も高くうわさ好きな一面もある、いわゆる“今どき女子”な橘について「ポジティブな世界に生まれている女の子」と語る堀さんに、橘の魅力や玉森さんが座長を務める撮影現場について、疲れた自分を癒やすリフレッシュ方法などをたっぷり伺いました。

「うそをつかないところは似ているかな、仲がいい子にはすぐにバレちゃう」

――橘麻友という人物をどのように捉えていますか?

「台本をいただいた時には、私にないキャピキャピ感があるなと思いました。すごく自由で明るくて。自由な部分は私にも似ているんですが、私は基本あまりテンションがバッと上がるタイプではないんです。そこに関しては麻友ちゃんは常に何か楽しいことも探しつつ、仕事に対しても楽しみややりがいを見つけながら頑張ろうとしている姿がポジティブな世界に生まれている女の子っていう感じがして、魅力的だなと感じました」

――そんな橘を通して、作品の魅力はどう感じていますか?

「私が演じる麻友をはじめ、研修医それぞれのキャラがすごく濃くて、それがちょっとクスッと笑えるようなシーンになっています。このメンバーだからこそ成り立つ雰囲気もありますし、みんなの個性があってこその見やすいストーリーになっていて。医療系ドラマというだけではなく、みんなに人間味があって、医者を目指している女の子たち、男の子たちというだけでなく、一人一人の人間の話としても共感して見てもらえる部分もあるんじゃないかなと思います。そこは台本を読んでいてすごく理解できたというか、スッと自分の中に入ってきた感じはありますね。医師の役ってもうちょっと難しいかなって思っていたんですけど、意外と……医療用語はやっぱり難しいですけど、そういう部分以外は麻友ちゃんも25歳で私と同い年ですし、麻友ちゃんは私と違うところがありながらも、演じやすい部分もあるなって思いました」

――堀さんとは違うところもあるということですが、逆に「ちょっと似ているな」「通じているな」と感じる部分はありますか?

「素直というか、うそをつかないところは似ているかなと思います。私はあまり表に出してはいないんですけど、喜怒哀楽だったりとか、そういった感情みたいなものがすごくあって。仲がいい子とかにはすぐバレるんですけど、嫌な時は嫌だし、うれしい時はうれしいみたいな、感情に対してうそをつかないみたいなところは似ているかもしれないですね」

――橘のポジティブさや素直さはドラマを見ていても伝わってきますよね。私は橘が友達だったら楽しいだろうなと思ったのですが…。

「そうですよね。たぶん人間のことがすごく好きな子なんですよね。人とのつながりというか。だから病院のうわさにも詳しいしおしゃべりだけど、人を傷つけることはしないので、ある意味大人なんです。近くにいたらいつも元気になれるというか、元気を与えてくれる感じの子なので、友達だったらいいなと思います」

――では、本作を通して知った医療現場の裏側、知らなかった一面はありますか?

「たくさんあります。研修室での仲間といる時の会話だったり机の上に置いてるものが、人それぞれではあると思うんですけど、すごく等身大で年相応だなって。麻友ちゃんに関しては『合コン行こうよ』とか『あんまりこの人は格好よくなかった』みたいな話をしていたり…。もっと淡々と個人個人で向き合っている感じなのかなと思っていたので、意外と仲間とのつながりを感じることも多くて、お医者さんも1人の人間で、それぞれのプライベートや人生があるんだなっていうのがあらためて知ることができた部分ですね。そこがリアルだなって」

――劇中では各話ごとに研修先が変わっていきますが、堀さんが研修医だったら興味を持ちそうな科はありますか?

「私は子どもが好きなので、小児科ですかね。私は小さいころに本当に体が弱くて、幼稚園や小学校もほぼ休んだり入院していたことが多かったんです。最近まで割とずっと体が弱くて、25歳を超えてから自分で体質改善をして少しずつ良くなったんですけど…体が弱い子は自分で何かすることが難しいので、自分だったら実際にそういう経験をしたので、そういった子たちを手伝いたいと思うと思います」

「玉森さんは一番ゆるふわ。そんな座長がいるから柔らかい雰囲気でできている」

――撮影も順調に進んでいるかと思いますが、現場の雰囲気はいかがですか?

「本当にみんながふわふわしていて、空気感が全体的に似ているので、話す時は話すこともあるし、ぼーっとしている時はぼーっとしている。すごく居心地がいいですね。でも本番になると結構アドリブがあったりして。研修室のシーンはほかの医療のシーンとは分けて、少しゆったりとした雰囲気にしたいというのが共通の思いとしてあるので、みんながスイッチを入れ替えて演じている感じはあります」

――撮影の合間はどんな話題で盛り上がっているのでしょうか?

「男性陣は結構くだらない話で盛り上がっていますね(笑)。それが少年心があってすてきだなって。私と(池田)エライザちゃんは、普通にファッションの話とか、海外旅行で行きたい場所の話をしたり。買い物行きたいねとか、でもめんどくさいねって。本当に普通の話なんですけど、学校のお休み時間みたいな感じですね」

――以前、谷川聖人役のYUさんにお話を伺った時に(https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-1816306/)「ちょっと人見知りで…」とお話されていたのですが、もうすっかり打ち解けられた感じでしょうか?

「そうですね。みんながすごくおしゃべりというわけではなく、おのおのがマイペースさも持っているので、みんな癒やし系な感じで。私はそれがすごい居心地が良くて、撮影の合間とかも結構寝そうになっています(笑)」

――もうお互いに無理しなくても大丈夫な関係性なんですね。

「本当にそんな感じですね」

――座長の玉森さんは堀さんからご覧になってどんな方でしょうか?

「一番ゆるふわなオーラがあるので、みんなの癒やし的な存在になっていると思います。あと、おちゃめなんでしょうね。ちょっと小ボケをしているところを時々見かけるんですけど、それでスタッフさんとかもニコニコしているから、すごいなって。おちゃめな座長がいるから、まったりとした柔らかい雰囲気の中でできているんだなと思います」

――ちなみにどんな小ボケをされているんですか?

「なんだろう…全然覚えてないですけど(笑)、本当にボソっとなんか言って、自分でフフフッって笑う感じで。周りに対してではなく、何か自分のルーティンみたいな感じかなと思うんですけど、だから勝手にお笑いとか見るのが好きなのかなって思っています。一見、玉森さんってジョークとか言わなそうじゃないですか。意外とそういう感じなんだなと思って印象が変わりましたね」

――では、撮影の中で印象的だったシーンはありますか?

「やっぱり研修先の先生役の方たちとご一緒するシーンは、すごい緊張感もありますし、そういうシーンってなんかちょっと怒られそうになっていたり、ピンチな状況だったりというシーンが多いんです。でも、私は緊張した時とかにあまり顔に出ないタイプなので、緊張している感じを顔に出すのが結構大変で…。そういったシーンは自分なりに頑張っていたかな…という意味で印象に残っていますね」

――その「緊張感を顔に出す」というのはどのように意識しているのでしょうか?

「寒い時って顔にグッって力が入るじゃないですか。あそこまではいかないんですけど、なんかそれくらい環境が変わらないと、私は表情が変わらないんです。なので、どの現場にいても『緊張しないんだね』ってよく言われるんですけど、実はめちゃくちゃ緊張していて…。楽しいとか、そういうポジティブな感情は出せるんですけど、嫌そうな顔とか怒られて申し訳なさそうな顔をしなきゃいけないっていうのが結構難しくて。病院のシーンでは緊張感があるシーンが多いので、ボケッとした顔をしないように、そこは気を付けています」

――今回の役を演じるにあたって、事前に準備されたことはありますか?

「研修室で糸結びの練習をするシーンがあるので、それはクランクイン前から動画と練習キットをいただいて練習しました。あとは、病名とか病院の中の詳細みたいなものがまとめられた紙をいただいて。未知の世界だったので、そういう部分を理解しながら演じていた方が自分としてもすごく演じやすいし、見ている方にも伝わるかなと思って、そこはちゃんと読みました。こういうふうにこの病気になっちゃうんだなとか、病院はこういう仕組みになっているんだなっていうのも、自分で調べたりして準備しましたね」

――医師役を演じる上で、やっぱりそういうところを調べた方が演じやすいですか?

「私は今まで実際に研修医としてやってきたわけじゃないので、すべてを理解することは難しいと思うんです。その中でも、やっぱり自分なりに患者さんの病気について理解しようとする姿というのが、麻友ちゃんの奮闘している姿にもリンクする部分があるのかなと思うので、そこは時間があまりない中でもできるだけやろうかなって思っていました」

「麻友ちゃんにはそんなに変化していってほしくないですね」

――役作りについて、橘の感情面ではいかがですか?

「いや、本当はお酒飲んで演じたいくらいなんです(笑)。それくらい素の私と麻友ちゃんのテンションに高低差があって、ダメかなって何度も思ったんです。自分なりに明るく演じても、『声のトーンとか表情がまだまだ落ちているよ』って指摘があったりして、『もっとか!』って。なので、そこのスイッチはちょっと…もうこれは自分じゃないって思わないと、そこまで振り切れないですね。ドラマで麻友ちゃんを見てくれた方は、そのイメージで私を覚えてくださったりすると思うんですけど、その後、実際に会ったりバラエティーで私を見た時に『なんか声低いし、基本ずっとボケッとした顔してるな』みたいなギャップが多分あると思うので、そこはご了承いただきたいなと(笑)。素はあんなかわいい感じじゃないんです!」

――そんなにテンションの高低差があると、撮影が終わって帰った時にすごく疲れてしまいませんか?

「そうですね。撮影の日は結構本当に爆睡していますね」

――お疲れの時に自分を癒やす方法はありますか?

「食べたいものを食べて、あとご飯の時に『クレヨンしんちゃん』を見るのが好きなんですけど、『クレヨンしんちゃん』を見ながらご飯食べて、寝る前にハーブティーを飲むようにしています。そのおかげで結構リラックスできているのかなと。ハーブティーは自分の好きな感じに調合してもらえるお店があって、そこで自分の体質や悩みに合わせて作ってもらって飲んでいます。ハーブティーとか紅茶やお茶系がもともと好きなんですが、それが以外とすごくおいしくて、最近の癒やしになっていますね」

――今後の橘の見どころを教えていただけますか?

「いつもうわさ話だったり恋愛の話だったり、そういう話をしているシーンが多いと思うんですけど、その中でも割と確信的なことを言っていたりとか、ちょっといいことを言う時がたまにあって。そういったシーンに麻友ちゃんの人柄や素直さが出てくると思うので、ただただおちゃめなだけじゃなく、麻友ちゃんのちょっと大人な部分も感じてもらえたらうれしいです」

――第5話のタロット占いで奇跡のカードが出るというシーンで、橘が「いいじゃん。どこかで誰かに奇跡が起きているんだから」と言うセリフが好きなのですが、そういうところにも橘の素直さや真面目なところが出ていますよね。

「曽根田みどり(池田)は真面目な部分がすごく表に出ているキャラクターなんですけど、麻友ちゃんは全く正反対で、常に楽しいことを求めている感じを表に出していて、努力している部分だったり真面目な部分だったりは、ほぼ表に出さない。たぶん家や人が見ていない時とかに、自分に厳しく向き合ってる子なんだろうなって思いますね。頑張っている感じを出さないのが、弱さでもあり、強さでもあるのかなっていうふうに思います」

――今後はそういった麻友の一面も見られるのでしょうか?

「第1話で麻友ちゃんを見てもらった印象と割とそのまま、あんまりイメージを裏切らないキャラクターではあると思います。安心感はあると思いますし、緊張感のある場面や人が困難に立ち向かっている時にも、麻友ちゃんがキャッキャしていたり。そういうところが逆に『ああ、いつもの麻友ちゃんだな』って感じてもらえたらいいなと思うので、あまり私としてはそんなに変化していってほしくないですね。でも、その中でもみんなでいろんなことに立ち向かっていくようなシーンでは、結構大人な顔や真剣な顔を見せる部分もあるので、そこで『ちゃんと医師を目指している研修医なんだな』っていう、麻友の真剣な一面を感じてもらえるように意識したいなと思っています」

【プロフィール】

堀未央奈(ほり みおな)
1996年10月15日生まれ。岐阜県出身。2013年に乃木坂46の2期生としてグループに加入。21年3月にグループを卒業後、俳優として精力的に活動。ドラマ「サレタガワのブルー」(TBSほか)、「理想ノカレシ」(TBS系)、「探偵が早すぎる〜春のトリック返し祭り〜」(日本テレビ系)などに出演。

【番組情報】

「祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録」
日本テレビ系
土曜 午後10:00~10:54

取材・文/K・T(日本テレビ担当) 撮影/蓮尾美智子

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