『新生』にぎわい空間 新大工町市場、長崎玉屋が復活 ファンスクエア開業

総菜や練り製品などを買い求める市民でにぎわう1階の味彩横丁=長崎市、新大工町ファンスクエア

 「ハッピーバースデー」-。「新大工町ファンスクエア」(長崎市新大工町)の開業を多くの人が待ちわびていた。かつて地域のにぎわいの中心だった「長崎玉屋」が閉店して約9年。19日、新たに生まれ変わった施設に、買い物客や地元商店街から期待の声が上がった。
 名称には「既存のファンも新しいファンも楽しめる場所にしたい」という思いが込められている。
 開業セレモニーでは、恵愛保育園(下西山町)の園児が「ハッピーバースデー・トゥー・ユー」を合唱。近くに住む尾上泰啓さん(64)は、再開発組合の田中丸弘子理事長に「おめでとうございます」とねぎらいの言葉をかけた。旧長崎玉屋ビルが取り壊される様子を思い返しながら「感慨深い。やっとこの日が来た」と入店の列に加わった。
 その長崎玉屋は新ビル2階に復活。衣料や雑貨などのセレクトショップ「ローズエッセンス」では、玉屋のシンボル、バラの包装紙を手にした女性スタッフが「バラに負けないくらいにキラキラした店、街になれば」と笑顔を見せた。期間限定で再び販売する名物サンドイッチに行列ができ、70代女性客は「仕事の昼休みにいつも買いに来ていた。懐かしい」と喜んだ。
 1階フロアには、戦後から同町で70年近く営業した「新大工町市場」の名称が受け継がれた。スーパー「ジョイフルサン」は特売目当ての客で、ごった返した。レジ待ち時間を減らせる最先端精算システムの使い方をスタッフが説明していた。総菜など12のテナントが入る「味彩横丁」。明るい空間で接客する店員の声が弾んだ。3階の100円ショップ「ダイソー」は品ぞろえが豊富で、若者や子ども連れが目立った。
 新ビルは新大工町商店街に面している。同商店街の「天満市場」で50年近く青果店を営む井手博さん(76)は「玉屋閉店からめっきり人通りが減っていた。若い世代が集まり、商店街や市場の魅力も感じてくれればうれしい」と波及効果に期待した。


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