「障害を理由に諦めないことが大事」 東京パラ車いすバスケ銀・川原選手が講演

「障害を理由に諦めないことが大事」と話す川原選手(画面)=長崎市、もりまちハートセンター

 長崎市障害福祉センターの開設30周年記念式典が19日、同市茂里町であった。昨年の東京パラリンピック車いすバスケットボール男子で銀メダルを獲得した、同市出身の川原凜選手(25)=千葉ホークス=がオンラインで講演。「障害を理由に諦めないことが大事。工夫してチャレンジを続けていけば世界は広がる」と自身の経験を基に語った。

 川原選手は脊髄腫瘍で生まれつき下半身にまひがある。同センターとの関わりは深く、2歳から中学2年までプールで泳ぎ続け、小学高学年からは体育館で車いすバスケもスタート。中学3年から高校まで「長崎サンライズ」に所属し、技術を磨いた。「センターが自分のスポーツを支えてくれた」と感謝する。
 この日は「障害者として生まれて」と題し、講演。東京パラでの激闘を話した後、聴衆に問いかけた。「例えば、腕が1本少ない人と1本多い人、どちらが障害者だと思いますか」。川原選手は「多ければできることが増えるし、少なくても工夫すればなんとでもなる。障害を障害と思うこと自体が障害。自分もそう思うことで世界が狭くなっていた」と振り返った。
 「障害に甘えてはだめ」と挑戦する大切さを説く一方、できないことは周囲に頼ることも必要だとし「しっかりと感謝をすれば助けてくれる人は増えていく。感謝の気持ちは絶対に忘れない」と力を込めた。
 今年1月からは車いすバスケ日本代表の主将を務める。2年後のパリパラリンピックに向け「金メダルを目指す」と意気込んだ。
 式典は約60人が出席。長年事業に協力する団体・個人への感謝状贈呈もあった。センターは1992年4月に開設。相談、療育、リハビリテーション、スポーツなど在宅障害者の自立支援や生きがいを高めることを目的に運営している。新型コロナウイルス前の年間利用者は約15万人。


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