コロナ第8波で三浦瑠麗、たむらけんじが行政責任をネグって医療機関を攻撃し非難殺到! 2人とも維新の大阪市長候補選定に関与

たむらけんじTwitter

ついに新型コロナの第8波が到来した。過去最多の感染者数を更新するなど先行している北海道では、救急搬送困難事案数も過去最多に。また、全国的に新規感染者が増加傾向にあるだけでなく、第7波で新規感染者数が同程度だった時期と比較すると、1日平均の死亡者数では現在のほうが約3倍になっているという指摘も出ている。さらに、オミクロン株の派生型であるBQ.1やXBBへの置き換わりも警戒されており、第8波は第7波を超えるのではないかといったAI予測もある。

このままでは、岸田政権や行政の無為無策によって過去最多の死亡者を出した第7波を超える事態となりそうだが、ところがワイドショーなどのメディアでは、またぞろコロナを過小評価するコメンテーターらが行政の責任から目を背けさせるような論を展開しはじめている。その筆頭が、国際政治学者の三浦瑠麗氏と、元大阪市長の橋下徹氏だ。

とくに三浦氏にいたっては、「医療側の努力が足りない」などと言い出し、猛反発を食らっている。

この発言が飛び出したのは、14日放送の『めざまし8』(フジテレビ)。番組では、まず橋下徹氏が「専門家会議か分科会からは重症化率や致死率は季節性インフルエンザと変わらない、またはそれ以下だという数字が出ている」「医療逼迫を解消する方法は国民が外出を自粛するのではなく、全医療機関で対応してほしい」「医療逼迫になるのは対応できる医療機関が非常に絞られている状況だからすぐに逼迫する」などとコメント。

すると、橋下氏につづいて三浦氏が「アメリカなんかだと、いまは自己申告で(コロナに)罹りましたと言っただけでファイザー製の抗ウイルス薬、飲み薬をオンラン処方される。でもそれって結局、感染のつらい期間を短縮するだけなんで、それはインフルエンザもそうですけどね、タミフルなんかも。それで済ませちゃってる」と言い、こう言い放ったのだ。

「だから日本だけ、やはり医療側の努力、これオンライン化も含めた努力が足りないっていうのは明らかなんですけど」
「私たちが求めているのは、橋下さんが言うように、医療側が季節性インフルエンザ並みにしっかり対応して、患者側は自分が大した症状じゃないんだったら我慢するというような、相互に努力することが必要なんですよ。だけど、医療側が努力しないのに『あなたたちだけ努力してね』と言われても……」

そもそも多くのコロナ死亡者を出しているアメリカを成功例のように引き合いに出す時点でズレているのに、医療機関を支える行政の不備を問いただしもせず、一方的に「医療側の努力が足りない」と言い出したのだ。

●三浦瑠麗「医者はワイドショー見てコロナ怖がりすぎ」と医療従事者を小バカにし、反論されると「私、医者じゃないんで」

無論、この三浦氏の発言に対してTwitter上では、一般ユーザーのみならず医療従事者からも反論の声があがった。

〈努力以外の全てが足りない日本の医療で、現場が必死に莫大な努力を注ぎ込んでなんとか支えてきたのが現状です。明らかどころか、正反対ですよ。〉
〈今まで沢山の患者さんのECMO回してきたし、寝ずに集中治療管理もしてきた。行き場のない救急患者も不眠不休で受け入れてきた。力及ばず亡くなられた方もいるけど、元気になられた方も大勢いる。それでも努力不足って事でOK?了解〉
〈ウチの病院は救急断っちゃダメと院長に言われて地域医療を守ってる病院。コロナ禍でコロナ疑い+陽性入院を1万人弱受け入れて2年半クラスターなしできて、どんだけスタッフ一丸となって気をつけてきたか、三浦瑠麗さんには一生わかるまい〉

あまりにも当然の反論だが、三浦氏といえば、「コロナたいしたことない」「経済を回せ」「5類引き下げ」派の急先鋒であり、こうした主張とともにたびたび持ち出してきたのが、医療批判だ。

今年1月29日深夜放送の『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)でも、「私から見たときの、日本の医者のいまの状況、やっぱり自分ごとだと思っていないんじゃないかな」「普通の医者がですね、コロナを怖がりすぎてる」などと半笑いで発言。“ワイドショーが煽るせいで過度にオミクロン株を恐れる一般人と同じで、医者はコロナを怖がりすぎている”と主張し、番組に出演していた医師である上昌広・NPO医療ガバナンス研究所理事長から「怖くない医者なんていないんです。それだったら、三浦さん、立ってみられたらいいんですよ」と反論されると、またも半笑いで「私、医者じゃないんで(笑)」と返し、ネット上で非難を浴びた(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2022/02/post-6156.html)。

そして、またも公共の電波で繰り出した「医療側の努力が足りない」発言。しかも重要なのは、“医療側が悪い”と仮想敵をつくり上げることによって、本来追及されるべき行政の責任をネグっていることだ。

今回の三浦氏による「医療側の努力が足りない」という主張は、前述したように、「専門家会議か分科会からは重症化率や致死率は季節性インフルエンザと変わらない、またはそれ以下だという数字が出ている」「医療逼迫になるのは対応できる医療機関が非常に絞られている状況だからすぐに逼迫する」という橋下徹氏のコメントに丸乗りするかたちで飛び出したものだが、この橋下氏のコメント自体が滅茶苦茶だ。

●橋下徹「コロナの重症化率や致死率は季節性インフルエンザと変わらない」発言は詐術だらけのデタラメ

まず、「コロナの重症化率や致死率は季節性インフルエンザと変わらない、あるいはそれ以下」という主張が酷い。

たしかに、11月11日実施の「新型コロナウイルス感染症対策分科会」では、分科会メンバーであり経済学者である大竹文雄・大阪大学特任教授と小林慶一郎・慶應義塾大学教授が、財務省の財政制度等審議会財政制度分科会の資料に基づくかたちで〈第7波の新型コロナウイルス感染症は、重症化率でも致死率でも季節性インフルエンザよりも低いか同程度になっている〉と意見書で主張している。行動制限を設けることに反対している経済学者から出された意見だという点がミソだが、じつは、同日の分科会で示された厚労省コロナ対策アドバイザリーボードによる「直近の感染状況の評価等」では、〈オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低いことが示されているが、現時点で分析されたオミクロン株による感染の致命率は、季節性インフルエンザの致命率よりも高いと考えられる〉とまとめられているのだ。

いや、そもそも重症化率や致死率を持ち出すこと自体、意味がない。というのも、第7波では重症化しないまま死亡に至るケースが多く、さらに第7波は新規感染者数も過去最大となった。つまり、感染者に対する死亡者の割合である致死率が低くなるのは当然だからだ。それに率が多少低くとも母数である感染者数が大きくなれば、死亡者の実数は大きくなる。

実際、11月9日のコロナ対策アドバイザリーボードでは、「東京都では第7波の重症化率や致死率が過去の波とくらべて低かった」というデータを東京都が示し、「第7波、死亡率0.09% 都調査、20年12月以降で最低」(毎日新聞11日付)などと報じられたが、そのデータの元となった死亡者数を見ると、第7波における東京都のコロナ死亡者数は、第3波(1051人)や第4波(200人)、第5波(837人)、第6波(1203人)よりも多い1342人となっている。あくまでこれは東京都における数字であり、全国や年単位で考えれば、「毎年3000人前後」とされている季節性インフルエンザの死亡者数より多くなるのは明白だろう。

橋下氏や三浦氏は、あたかも「恐れるに足りない」と印象付けようとするが、第7波で過去最多の死亡者数となったことは事実であり、コロナ後遺症の問題も含め、到底「季節性インフルエンザ並み」とは言えない状況にあるのだ。

さらに、橋下氏が言う「コロナに対応できる医療機関が絞られているためにすぐに医療逼迫する」「全医療機関で対応しろ」という主張も、まるで現実を無視している。この主張は「5類引き下げ派」が繰り広げているものだが、院内感染を防ぐためのゾーニングや動線確保というハードルがあること、コロナ以外の病気に対応する必要があることなどを踏まえれば、「全医療機関で対応しろ」と号令を出してすぐにできるものではない。一方、すでに東京都では発熱外来が危機的状況にあるとも伝えられている。この状況を打開するには、大規模な発熱外来センターの設置など行政による一刻も早い対応が必要だ。にもかかわらず、三浦氏は「医療側の努力が足りない」などと言い、医療機関に罪をすべて押し付けたのである。あまりにも非道としか言いようがないだろう。

言わずもがな、コロナで全国ワーストの死者を出している大阪は第7波でも全国最悪の状況に陥ったが、もとを正せば2008年に橋下氏が大阪府知事に就任して以降、維新政治によって医療福祉を切り捨ててきたことに問題がある。維新による府・市政は公的医療や保健所を削減したほか、医師・看護師などの病院職員、そして保健所など衛生行政にかかわる職員を大幅に削減してきた。こうした医療福祉の削減のツケが回ってきたこと、さらに橋下氏の直系後継者である吉村洋文知事の「やってる感」だけのコロナ対応によって、最悪の状況が生み出されてしまったのだ。

逆に言えば、福祉切り捨ての維新的な新自由主義から転換を図り、公的医療の充実に踏み切らなければ、今後も大阪を筆頭に全国で何度も同じ悲劇を繰り返していくことになる。

だが、橋下氏には反省がまったくないどころか、三浦氏と一緒になってコロナを矮小化し、医療逼迫の原因・責任を行政の問題ではなく、医療機関に転嫁しているのである。

●三浦瑠麗に続きたむけんも医療攻撃! ともに維新の大阪市長選候補者選定にもかかわる維新ベッタリぶり

しかも、これはたんに橋下氏と三浦氏にかぎった話ではない。吉本芸人であるたむらけんじも最近、こんなツイートをおこなっている。

〈日本医師会さんもうだいぶ儲けたでしょ? もうそろそろ真剣に国民の健康と医療現場のこと考えてくださいよ。5類にしようってあなた達が責任持って覚悟を持って、儲けを考えないで言うてくださいよ。お願いします。もうキツイです。〉

これには東京都議会議員の尾島紘平氏が〈そもそも間違っているのが「コロナは儲かる」ということです。実際は真逆ですが、医療機関に無理を申し上げて頑張っていただいているのが現実です。国民の健康と医療現場のことを考えれば2類相当のままが望ましかったですが、現状はすでに5類に近いです。たむけんさんのような勘違いが一番キツイです〉と反論をおこなったほか多くのツッコミが寄せられているが、三浦氏による「医療側の努力が足りない」発言といい、あまりに酷いものだろう。

しかも、注目すべきは、三浦氏もたむらけんじも、維新とベッタリの関係にある、という点だ。

というのも、来春に予定されている大阪市長選に向け、大阪維新の会では党の候補予定者を決める「予備選挙」を実施するというが、その選考過程では、『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)の司会を長く務めた辛坊治郎氏や『真相深入り!虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)曜日レギュラーだった須田慎一郎氏といったヘイト番組の常連たちとともに、三浦瑠麗氏も選考委員に抜擢。以前より維新からの出馬も噂されてきたほど維新とベッタリの関係にあるたむらけんじも、維新が配信しているYouTubeの予備選番組の司会を務めている。

大前提として、三浦氏や辛坊氏、須田氏が維新の大阪市長予備選の選考委員となること自体、今後、政治的公平性が求められるテレビの司会やコメンテーターを務めていていいのかと指摘せざるを得ないが、それはともかく、重要なのは、医療機関や医師会に対する不当なバッシングが、ここにきて維新と近い三浦氏やたむらけんじから連続して発せられているという事実だろう。

何度も大阪をコロナで最悪の状況に陥れながら、いまだにその責任についてメディアから徹底追及されることもなく、大阪万博のPRに注力している吉村知事。「医療機関が悪い」「日本医師会が悪い」というキャンペーンが大きくなれば、その恩恵を受けるのは「努力が足りない」吉村知事や松井一郎・大阪市長、岸田政権といった為政者たちだ。三浦氏や橋下氏、たむらけんじといった面々がいったい誰を守ろうとしているのか、よく見極める必要がある。
(編集部)

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