電気料金の負担軽減策は十分? 再エネ賦課金は停止すべき? Z世代&視聴者で議論

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「GENERATION」のコーナーでは、視聴者を交え、政府が行う“電気料金の負担軽減策”について議論しました。

◆電気料金の負担軽減策として政府が6兆円を計上

10月28日に政府の総合経済対策が発表され、そのひとつとして2023年1月から9月までの電気料金の国民負担を軽減するとしています。

一般家庭では1kWhあたり7円の補助がなされ、標準世帯では2割の削減。月々平均400kWh使用すると月に2,800円減となります。そして、企業についても1kWhあたり3.5円補助するとしています。

また、12月からは国が進める節電ポイントプログラムもスタート。年内に参加登録した家庭に一律2,000円相当、そして月々の使用量を3%減らした家庭に最大5,000円相当を還元。

政府は物価高への取り組みに6兆円を計上していますが、この財源の大半は赤字国債ということで、将来の世代にツケを回すことになります。

こうした状況に、番組Twitterには「電気料金の負担軽減と言ってもエネルギー価格は上がっているし、誰かがどこかでいつか負担しないといけない。見た目の負担感だけ減っても問題の先送りになるかな」、「原発動かすって言っていたのはどうなったの?」など、さまざまな意見が寄せられていました。

そこで、Twitterの「スペース機能」を活用して幅広い世代の視聴者に参加してもらい、Z世代のコメンテーターと議論する「GENERATION」のテーマは、"電気料金の負担軽減策は十分なのか、不十分なのか”。

Fridays For Future Tokyoオーガナイザーの黒部睦さんは、現状に対し「すごくモヤモヤするところは多い。本当は気候変動対策などもっと将来のことを考えて取り組みたいところだが、そうは言っていられないぐらい価格が高騰してしまっている」と所感を述べます。

今のままでは将来世代が赤字国債を負担することになる上に、気候変動の被害も大きく被ることになるとし、「そこのバランスを取りつつ、いかに減らしていけるか。負担や被害を軽減できるか考えていかなければいけないものの、とても難しい」と言葉をつまらせます。

なお、番組Twitterで「電気料金の負担軽減策は十分か? 不十分か?」についてアンケートを実施したところ、「十分」が13%。「不十分」が63%。「その他」が24%でした(※最終結果:十分 8.1%、不十分 55.8%、その他 36%)。

◆家庭の大きな負担「再エネ賦課金」は停止すべきか?

電気料金の負担軽減策の争点としては、ひとつに「電力会社よりも家庭や企業に直接給付すべきではないか」という点があります。販売価格に全額が反映されない可能性があるからです。もうひとつは「再エネ賦課金」で、停止したほうが効果的という声もあり、国民民主党は停止を求める法案を提出しています。

再エネ賦課金とは、電気会社が再生エネルギー普及のため電気料金に上乗せしている料金です。電気料金と再エネ賦課金を合わせた額が支払い額となり、現在再エネ賦課金は1kWhあたり3.45円となっています。

この再エネ賦課金について、以前から停止を訴え続けているNPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは、「当然、一定数の意義はあるだろうと思うが、一にも二にも自分の生活。大事なのは、市民社会の経済負担をいかに減らしていくか」と主張。その上で「その土台がない限り、気候変動問題も含め、あらゆる社会問題に取り組むということができないと思う」と述べ、まずは一人ひとりの生活を重要視。

その上で「再エネ賦課金は構造的にとても歪で、停止することを前提に設計されていないため、容易に停止することは非常に困難」と話します。それを重々承知しながらも、大空さんは「社会問題というのは全ての人がその議論の土壌にあるべき。そうではないことを生んでしまうような制度があるならば、それは一時的にでも廃止すべきだし、今やれることで一番いいのはそこなのではないか」と再エネ賦課金の停止を望みます。

電気料金の負担軽減策に関して、Twitterスペースに参加している視聴者からは「賛成ですが、まだ不十分。将来世代の負担、ツケと言うが、それは僕が生まれたときから言われ続け、ツケを回され続けている。今の生活に困っているのであれば、赤字国債だろうがなんだろうが、発行してしまえばいい」とスタジオとは異なる意見が。また、別の視聴者からは「不十分。大空さんが言っていたように一番早いのは(再エネ賦課金)を削るのが、万人にとって平等に減らせる部分だと思う」といった意見もありました。

政治プラットフォーム「PoliPoli」代表の伊藤和真さんは「大事なのは政策の"有効感”」とし、「実際に電気代が下がった、国からサポートが得られている、物価高対策がされているという有効性が重要であり、そこは今後、政府の発信含め、課題になってくる」と指摘します。そして、もうひとつに「出口戦略」を挙げ、「これをいつまで続けるのか」と今後の焦点を示唆します。

◆今こそ原発は再稼働すべきなのか?

黒部さんは、気候変動・環境活動を積極的に行なっていることもあり、再エネ賦課金に対していろいろと思いがある様子。国民民主党の法案にしても「(再エネ賦課金を)『停止したほうがいい』と言っているが、その分、再エネをいかに促進していくかは具体性がない」と懸念。

そして、「CO2の排出量は、一定数を超えてしまうと本当に後戻りできないぐらい(気候変動などの)被害が出てしまう。後にツケが回るのは、経済も気候変動も同じだが、後戻りできなくなってしまうのが地球の現状。個人的には気候変動のツケを減らしていく方向性でいってほしい」と切望します。

一方で、昨今のエネルギー問題を語る上で欠かせない"原発”については「(再稼働)したくない気持ちはあるが、本当に時間がないので、そこは議論が必要」と苦渋の選択。

大空さんは「原発は再稼働するしかない。当然リスクはあるが、逆にそれ以外の方法はないのでは」と主張。「再エネと原発の再稼働は対立軸ではない。両立する分野なのに、日本では二項対立で語られている」とし、併用を力説。

改めて、「原発再稼働か再エネかではなく、再エネは中長期的な課題であり、当然原発を減らしていき、再エネを増やしていくという方向性で進めるべき」と強調し、「ただ、今は足元の経済が揺らいでいる状況なので、それを考えると今ある原子力発電を稼働するのが一番早い」と自身の見解を述べていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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