「心に活気が沸いてくる」“レイヤー”歓喜!コロナ禍乗り越え3年ぶりに開催「富士山コスプレ世界大会」の“変化”と“不変”

11月19日、20日の2日間、静岡市清水区のJR清水駅周辺で、「富士山コスプレ世界大会」(以下「富士コス」)が開催されました。新型コロナの影響で、2020年、2021年は中止に。3年ぶりとなった第8回大会は、メーンとなる会場を清水駅前銀座商店街アーケードから、清水駅東口公園に移しての開催となりました。

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「富士コス」の名物となっているコスプレランウェイ

『SPY×FAMILY』や『原神』が人気

今回の大会では、『SPY×FAMILY』や『原神』『ウマ娘 プリティーダービー』などのコスプレが人気を集めていました。

〝「富士コス」があると、心に活気が沸いてくる〟

そのほか、『リコリス・リコイル』や『チェンソーマン』など、直近のヒットコンテンツのコスプレも目立ちました。

コスプレイヤー(アグネスデジタル):「この2年、『富士コス』がないというのが本当に悲しくて、『富士コス』に向けてパフォーマンスを練習しているということもあったので、『富士コス』があると、心に活気が沸いてくる」

多くのコスプレイヤーたちが、「富士コス」の復活を心待ちにしていました。

毎年のように参加しているというコスプレイヤーのように、「富士コス」を、パフォーマンスの披露の場と定め、練習を重ねているというコスプレイヤーも少なくありません。

好きなキャラクターの衣装を身にまとうだけでなく、キャラクターになりきって、人前で歌ったり、踊ったり、パフォーマンスをすることも、コスプレの大きな魅力です。また、コスプレイヤー同士の交流も、こうしたイベントでの醍醐味となっています。

多彩なパフォーマンスイベント

「富士コス」では、会場内で自由にコスプレを楽しむことはもちろんですが、パフォーマンスの披露の場として、「ステージパフォーマンス」と「ランウェイパフォーマンス」を設けています。

今回、メーンの会場が商店街のアーケードから、公園に移ったことで心配されたのが、このパフォーマンスへの雨天の影響でしたが、雨の中行われた2日目も、多くの観客でにぎわい、ステージは熱気に包まれました。実行委によると、2日間の会期中、コロナ禍前と同じ水準の人出があったということです。

改善は“コスプレイヤーファースト”で

伊東哲生委員長:「ひさしぶりにレイヤーさんが目を輝かして、歩く姿を見ると、これがわたしたちが『富士コス』を継続している理由ですので」

無事に大会を再開できたことへの喜びを語るのは、主催者である「富士山コスプレ世界大会実行委員会」の伊東哲生委員長。今回の大会は、密を避けるためにメーン会場を公園に移すなど、これまでと違った形での開催となりましたが、コロナ対策として実施した新しい試みは、よい結果を生んだと感じています。

伊東哲生委員長:「来年に向けて、どういう風に改善するか考えたい。どっちにしても“コスプレイヤーさんファースト”ですね。それに一般の来場者の方々が、一緒に育っていただいて、一緒に楽しんでいただく」

よい部分ばかりではなく、課題も多く見つかりましたが、“コスプレイヤーファースト”で、運営方法を改善していきたいと意気込みます。

メーン会場だけでなく、商店街にも多くの人出

「富士コス」はもともと、清水駅前銀座商店街の活性化を目的に始められた経緯もあり、メーン会場が駅の反対側の公園に移ったことで懸念されたのが、商店街への人出でした。

しかし、ふたを開けてみると、多くのコスプレイヤー、観客で商店街はにぎわいをみせました。こうした状況を商店街の関係者はどうみているのでしょうか?

商店街を活気付けるために始まった「富士コス」

「清水ノンタウン」代表たかさん:「商店街としては、今のパターン、いいんじゃないかと思いますね。密にもならないので」

第1回大会にコスプレで参加したことがきっかけで、2019年から商店街でコスプレスタジオ「清水ノンタウン」を経営することになったたかさん。

商店街の人の往来がある中に、コスプレのステージがあるという、全国的にも珍しい、これまでの形態がなくなったことに、一抹のさびしさも感じているといいますが、ステージイベント周辺でのこれまでの過密な状況などを考えると、適度に人が流れるようになり、ちょうどよい人の量になったのではないかと感じています。

「清水ノンタウン」代表たかさん:「このエリアはコスプレで歩けるんです。毎日『富士コス』みたいな感じになりたいですね。さらにそれを通り越した、毎日、コミケみたいな感じに清水をしていきたい」

新たに生まれ変わった「富士コス」とともに、将来は商店街を毎日、「富士コス」のような状態にしたいと夢を語ります。

かつては、「日本一コスプレに理解ある商店街へ‼」というキャッチフレーズを掲げていたこともある「富士コス」は、清水のまちに間違いなく、コスプレ文化を根付かせつつあります。

新しい「富士コス」へ

2013年、富士山が世界遺産に登録された年に始まった「富士山コスプレ世界大会」。このタイトルには、将来的にはコスプレイヤーたちと一緒に静岡・清水の魅力を日本に留まらず、世界に発信していけたら、という想いが込められています。

盛況のうちに幕を閉じた、ウィズコロナ時代の「富士コス」は、コスプレ、そして、清水のまちのポテンシャルの高さを感じさせる大会でした。来年は、どんな大会になるのか、進化を続ける「富士コス」に、今後も注目です。

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