楽しく女性も活躍できる農業とは 23日、岡山で取り組み報告

若い女性が野球のユニホーム姿で出荷する野菜の袋詰めをする「HAPPY FARM+R」の作業場=真庭市内

 農業を楽しく、若い女性も活躍する―。従来のイメージを変える新たなスタイルを目指し、先端の機械を取り入れて環境にも配慮しながら農地を次々増やしている農業法人が、真庭、笠岡市にある。「未来につなぐ食と農」をテーマに山陽新聞社さん太ホール(岡山市北区柳町)で23日開催のシンポジウムで取り組みが報告される。

 出荷するサニーレタスの袋詰めをする作業場には、若い女性の姿が目立つ。作業着はそろいの野球のユニホーム。おしゃれな感覚で農業に取り組む。

 真庭市の農業法人「HAPPY FARM+R」だ。農業の高齢化や衰退が進む中山間地域とは思えない姿がある。「農業のイメージを一新したい」と奥村龍次社長。働きやすい勤務時間設定などに取り組む。

 経験ゼロから農業を始め、2019年に株式会社を設立した。耕作放棄地を借り受け、栽培面積を徐々に拡大。9ヘクタールで15人がさまざまな野菜を作る。岡山市が拠点のスーパーに産地直送の形で出荷するなどしている。

 生ごみなどから作られた液肥を利用するなど環境に配慮した循環型の農業を促進。ドローンなどの機器も導入する。地区のほぼ全域の農地を請け負っているケースもあり、雑草で覆われた耕作放棄地が様変わりしている。

 笠岡湾干拓地にある有限会社「エーアンドエス」は、この10年で栽培面積が大きく拡大し、145ヘクタールに。主に加工業務用にキャベツ、タマネギなどを栽培し、65人が働く。

 大規模経営を支えるのが、先端機械を生かした「スマート農業」だ。育苗の自動化やロボットトラクターの導入などで効率を高めて低コストを実現した。体力がさほどいらず、勤務も柔軟化し、子育て中や定年退職後も働ける環境にしている。

 タマネギの皮をむく加工で、皮やへたを畑にすき込むことで肥料や農薬が削減できた。

 大平貴之社長は「周辺の農業者らとの競合は避け、輸入に頼っている農産物を生産して食料自給率アップにもつなげたい」と言う。

 二つの農業法人は、不利な条件の中山間地域と有利な大規模経営の違いがあるが、働き方改革、機械化、循環型農業など共通点も多い。

シンポ参加者募集

 シンポジウムは23日午後2時~4時。無料。申し込みは、特設サイト(https://c.sanyonews.jp/sdgs_sympo)で。問い合わせは、山陽新聞社NIE推進部(086―803―8075)。

エーアンドエスが新たに導入した機械の走行試験。手を放しても自動でまっすぐに進み、苗を植えられる=笠岡市

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