デビューは「いい風呂の日」 玉川温泉の支配人がCDデビュー 「温泉カラオケ」文化復活へ意気込み

CDデビューする「昭和レトロな温泉銭湯 玉川温泉」支配人の栗崎正人さん=埼玉県ときがわ町たまがわの昭和レトロな温泉銭湯「玉川温泉」

 「温泉カラオケ」文化の再興へ―。11月26日の「いい風呂の日」に、埼玉県ときがわ町の「昭和レトロな温泉銭湯 玉川温泉」の支配人栗崎正人さん(55)がCDデビューする。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、温泉施設内のカラオケの使用を一時中断したために落ち込んでしまったカラオケイベント。「銭湯の中にあるカラオケ『温泉カラオケ』は、お客さまのコミュニティーづくりの大事なひとつの手段であると思っている。CDデビューがこの文化の復活のきっかけになれば」と意気込んでいる。

 廃業となった銭湯で実際に使用されていた小物をディスプレーするなどして「昭和レトロ」をテーマに運営する「玉川温泉」。敷地内に足を踏み入れるとどこか懐かしさを感じさせる空間が広がり、地域住民の憩いの場としても愛されている。カラオケも楽しめ、新型コロナウイルス感染拡大前は、頻繁に行われるカラオケ関連のイベントを目的に訪れた来館客の歌声が響き渡っていた。

 新型コロナウイルスがまん延すると状況は一変。カラオケの使用を中止とし、イベントも実施不可能に。規制の緩和とともにカラオケの使用も再開させ、現在ではイベントの開催を元通りにしているが、それでも以前の活気には戻っていないという。

 一度落ち込んでしまった「温泉カラオケ」の文化の状況を打破しようと立ち上がったのが同施設の支配人の栗崎さんだ。若い頃からバンド活動などを通して音楽と触れ合ってきた栗崎さんは、今年4月に玉川温泉の支配人に就任。常連の60代の客と昭和の空間を求めてやってきた若者が、カラオケを通してコミュニケーションを図る姿なども実際に目の当たりにし、温泉カラオケの可能性を感じてきただけに、現状に歯がゆさを感じていた。

 「コロナで落ち込んだ温泉カラオケの文化をもっと盛り上げたい。だったら自分がきっかけになろう」。そんな思いを胸にCDデビューを決意。地元を題材に1960年代を意識した完全オリジナルのムード歌謡などの曲を用意した。

 先月からは、クラウドファンディングも開始。サイン付きCDと玉川温泉入浴券のセットや温浴施設限定の出張ライブパフォーマンスの実施などのプランを用意。既に県外の二つの店舗でのライブが決まっている。デビューの日は、自らが支配人を務める玉川温泉でライブを実施する。

 「目の前にいるお客さまを笑顔にしていくのが私たちの仕事」と栗崎さん。「笑顔になっていただくひとつのアイテムとして温泉カラオケを盛り上げていければ」と力を込める。

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