龍神村の林業を語る 「翔龍祭」でシンポジウム

龍神村の林業について語ったシンポジウム(20日、和歌山県田辺市龍神村安井で)

 和歌山県田辺市龍神村安井の龍神市民センターと周辺を会場に19日から、第51回「龍神林業まつり」と第37回「村民文化祭」を合わせた「2022翔龍祭」(実行委員会主催)が開かれている。20日には大ホールで「林業まつり50周年記念シンポジウム」があり、有識者や龍神村の林業関係者が地域の林業について語った。

 シンポジウムのタイトルは「龍神林業 昔と今とこれからと」。コーディネーターは長野県在住の林材ライター、赤堀楠雄さんが務めた。岩手県の盛岡森林管理署長(元龍神村参事)の宮沢一正さん、和歌山県林業試験場特用林産部長(元龍神駐在林業改良指導員)の坂口和昭さん、県農林大学校林業研修部主任(同)の濱田徹さん、元龍神村林業課長の糸川景二さん、指導林家の栗原秀嘉さん、龍神村森林組合長で翔龍祭実行委員長の眞砂佳明さんがパネリストとして参加した。

 赤堀さんは、来場者からも意見を募りながら進行。「昔と今」をテーマにした第1部では、長年龍神村の林業に関わってきたパネリストが、これまでの林業立村に向けた取り組みや、林業まつりが始まった経緯や目的、今の林業の状況などについて語った。

 「これから」がテーマの第2部では、龍神村の林業の未来について意見を述べた。「環境問題やCO2(二酸化炭素)の削減にも大いに寄与できる」「直接関わりのない人にも山村の応援団となってもらうことで、地域を発展させていくことが大切だと思う」「山にある特用林産物は宝の山。山の資源は、工夫すれば観光資源にもなる」といった意見が出た。最後に糸川さんが「それぞれの立場の方が、同じ方向に向かってそれぞれできることをやっていく。その積み重ねが光明になるのではないかと思っている」と述べた。

■作品展や舞台発表も

 龍神市民センターでは23日まで、村民文化祭の作品展も開催。絵画や書、ちぎり絵、手芸などの他、農薬を使わないオーガニック米の栽培についてまとめた掲示物、龍神村の園児や児童生徒の作品も展示している。また、19日と20日には南部高校龍神分校も文化祭行事として参加。模擬店を出したり、大ホールの舞台でダンスを披露したりしたほか、ボルダリングの体験設備も設けた。

 龍神観光協会もブースを設けて、電動アシスト付き自転車(Eバイク)を無料で貸し出し試走できるようにしたほか、龍神村をモチーフにした「温泉むすめ」のキャラクター「龍神 晴(せい)」の等身大パネルも特別に展示した。

 会場付近では、チェンソーアートの元世界チャンピオン、城所ケイジさん監修のもと、「龍神チェンソーカービング倶楽部」の正会員8人がそれぞれ「人生一番の龍」に挑む公開彫刻ショーをした。今回と、来年の翔龍祭にかけて制作し、完成品は龍神村柳瀬の「龍神村Dragon Museum(ドラゴンミュージアム)」に飾る予定という。

 翔龍祭の関連イベントとして、県主催の第4回「きのくに伐木チャンピオンシップ2022」も開かれた。林業技術を競うチェンソーの競技大会で「丸太合わせ輪切り競技」と「枝払い競技」の2種目でその技術を競った。

 優勝は、北海道大学和歌山研究林の千井芳孝さん、準優勝は龍神村森林組合の北田兼司さん、3位は森林組合こうやの奥井健介さんだった。

村民文化祭ではさまざまな作品を展示し、来場者を楽しませている(19日、和歌山県田辺市龍神村安井で)

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