福岡市長選挙「投票に行く前にチェックしたい」候補者の横顔

この番組をラジコで聴く

11月20日に投票と開票が行われる福岡市長選。候補者の横顔について、選挙戦を取材しているRKB報道部の三浦良介記者がRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で解説した。

任期満了に伴う福岡市長選挙に立候補しているのは、届け出順にいずれも無所属で現職の高島宗一郎氏、会社員で新人の熊丸英治氏、元福岡市議で新人の田中慎介氏の3人。

高島氏・尊敬するアントニオ猪木氏を意識？

田畑竜介アナウンサー（以下、田畑）：事実上の与野党一騎打ちの様相を呈している今回の市長選。選挙戦も終盤戦に差し掛かってきましたが各候補の動きはいかがですか？

三浦良介記者（以下、三浦）：高島氏は、キャナルシティ博多で購入した上下白のジャージに赤いスニーカーで、なかなか公務では行くことが少ない離島や郊外を含めた144校区全てをまわりました。これまでは公務の合間を縫っての街宣でしたが今週からは公務も減るので、都心部での街頭演説も行っていく予定です。

武田伊央アナウンサー（以下、武田）：4選目を目指す高島氏が今回の選挙戦で特に訴えていることは何ですか？

三浦：「挑戦することで未来は変えられる」「コロナ禍で失った時間を取り戻し、経済を回復させて元気を取り戻す。もう一度、12年前と同じ『取り戻せ元気』にチャレンジするときが来た」と訴えます。

田畑：2010年、KBCのアナウンサーから史上最年少となる36歳の若さで当選した高島氏。当時のキャッチフレーズが「取り戻せ元気」でしたよね？

三浦：プロレスが大好きで、アナウンサー時代にはプロレスの実況を担当していた高島氏。出馬を決めた日の朝、選んだネクタイの色は「赤」でした。出馬会見で私がネクタイについて質問すると「言葉にすると安っぽくなる」と明言はしませんでしたが、今年10月に亡くなった「燃える闘魂」アントニオ猪木氏の象徴である「赤」を意識したのでしょう。

三浦：高島氏の自宅に飾ってある2枚の色紙。1枚がアントニオ猪木氏、そしてもう1枚が安倍元総理です。立て続けに尊敬する人がこの世を去り、「福岡市のリーダーとしてより良い福岡をつくり、次の世代にバトンをつなぐことが自分の使命だと感じた」と涙をこらえながら話しました。

田中氏・人気ゲームで「義を見て為せる人」に憧れた

田畑：今回の市長選挙ではやはり「天神ビッグバン」などの都心の再開発やスタートアップ＝創業支援などに力を入れて来た3期12年の高島市政への評価が争点のひとつとなっていますが、高島市政からの転換を訴える田中慎介氏はいかがですか？

三浦：白いジャンパーに、元気が出るというイメージカラーのオレンジのタスキをかけて支持を訴える田中慎介氏。「給食費の無償化」や「公共料金の値下げ」など都市開発中心の市政から市民一人一人の所得を伸ばして市全体を豊かにするボトムアップ型の市政へ転換するとしています。

三浦：田中氏は西南学院中学校から筑紫丘高校と、今回の候補者の中で唯一の福岡市出身です。政治家を目指した原点は、中学校時代に生徒会長を務めたことと、戦国時代を舞台にしたコーエーの人気ゲーム「信長の野望」にはまって「義を見て為せる人」に憧れたことだと話します。

田畑：田中氏はコンサルティング会社勤務を経て、2007年に福岡市議会議員に初当選し、野党最大会派「福岡市民クラブ」では会長を務めていました。立憲民主党・国民民主党・社民党が推薦するほか、共産党の市議らが名を連ねる市民団体とも政策協定を結んでいて事実上の野党統一候補ですね。

三浦：11月15日、西鉄ホールで「福岡から政治をかえる会」が主催する応援集会が開かれ、各政党の代表者が、集まった470人を前に、田中氏の支援を呼びかけました。共産党と距離を置く国民民主党のみが不参加で、一枚岩ではない部分も垣間見えましたが、田中氏は、「月に1回、市民との対話集会を開き、口先だけではない市民参加で、みんながワクワクするような『福岡の新時代』を作っていきたい」と訴えました。

三浦：そして、実は同日、高島氏と田中氏のスケジュールがかぶって、午前11時に西鉄雑餉隈駅に隣接する銀天町商店街で鉢合わせすることになったんです。テレビ・新聞の各記者たちは選挙戦の大きな山場の一つと待ち構えていたんですが、歩み寄る高島氏に対し、田中氏は立ち止まらず、2人が相まみえることはありませんでした。

田畑：2人の公開討論を聞いてみたかったという気持ちはありますね。

熊丸氏・福岡市をマンガとアニメで盛り上げる

武田：もう一人の候補者、熊丸氏はどういった選挙戦を展開しているのでしょうか？

三浦：久留米出身の熊丸英治氏は 久留米市の実家から選挙カーで福岡市に来て、天神のライオン広場や博多駅周辺で街頭演説を行っています。選挙カーの「熊丸英治」という字はアニメ・エヴァンゲリオンで使われているフォントと言えば田畑さん、分りますか？「ちゃんと使用許可を取った」と話しています。

武田：熊丸さんって、マンガやアニメが好きなんですね？

三浦：熊丸氏の公約の一つに福岡市をマンガとアニメで盛り上げるというのがあります。福岡市が舞台のマンガ「クッキングパパ」とのコラボや実物大のガンダムが立つららぽーと福岡の近くに、未来の福岡市が舞台の「攻殻機動隊」とのコラボを模索したいと話しています。

田畑：熊丸氏はそのほかどんなことを訴えているんですか？

三浦：ドライブが趣味という熊丸氏。高齢者が免許を返納しても買い物や通院ができるように自動運転のシステムを導入したいとしています。

田畑：きょうは候補者の今まで知らなかった一面も知ることができましたね。福岡市のリーダーを決める大切な市長選挙。市政の継続か刷新か。投票日は11月20日です。

※放送情報は変更となる場合があります。