ソフト日本男子 悲願のW杯制覇へ 26日開幕 平林金属クから5選手

投打二刀流の松田光

 ソフトボール男子の最高峰・ワールドカップ(W杯、旧世界選手権)は26日、ニュージーランド・オークランドで12カ国が出場して開幕する。日本代表16人のうち、平林金属ク(岡山市)からはいずれも前回2019年世界選手権銀メダリストで、今大会を最後に現役を退く投打二刀流の松田光(35)、次代のエース小山玲央(24)ら過去最多の選手5人が選ばれ、吉村啓監督(46)が初めて指揮を執る。平林金属ク勢を中心に世界ランキング2位の総力を結集し、悲願の世界一に挑む。

 「あの悔しさは今でもはっきり覚えている」。先発の一角を担う小山にとってリベンジの舞台になる。日体大3年だった前回大会の決勝。アルゼンチンを相手に松田の後を継いで1点リードの六回から登板したが、同点に追いつかれ、延長タイブレークの末に敗れた。

 涙に暮れたファイナルから3年半。最速135キロを誇る右腕は昨春の平林金属ク加入後、松田の背中を追いかけ“最強の二枚看板”と呼ばれるまでに成長した。「自分の投球をして恩返ししたい」と偉大な先輩の花道を飾る覚悟だ。

 小山と同じく2大会連続出場となる二塁手の八角光太郎(26)は堅守の要。「一つのミスが命取りとなる。確実に打球を処理してリズムをつくる」。初選出の内野手鳥山和也(30)、外野手の浜本悌(26)は攻撃面で期待がかかる。185センチ、100キロの左のスラッガー鳥山は「来た球を打つのみ。暴れてくる」と剛腕ぞろいの海外勢に持ち前の長打力で対抗する。俊足巧打の浜本は「隙があればどんどん(次の塁を)狙う」と日本が得意とする小技を絡めた「スモールソフトボール」をけん引する存在で、守備も鉄壁だ。

 前回大会で神懸かり的な活躍を見せ、00年に並ぶ過去最高の銀メダル獲得の立役者になった松田は集大成の大会を迎える。5大会連続代表となるチームの最年長はこれまでの経験を踏まえ、「若手がのびのびプレーできる雰囲気をつくり、最高のフィナーレに結びつける」。吉村ジャパンをまとめ上げ、新たな歴史を刻む。

 ソフトボールW杯 12チームがA、Bの2組に分かれ、1回戦総当たりの1次リーグを実施。各組の上位3チームが2次リーグに進み、下位3チームは7~12位決定戦に回る。2次リーグは1回戦総当たり(1次リーグで同組だったチームとの対戦成績は持ち越し)を行い、1、2位が優勝決定戦、3、4位が3位決定戦でメダルを争う。従来の世界選手権を今回から改称。おおむね2年に1度開催され、ニュージーランド大会は当初2021年2月に予定さていたが、新型コロナウイルスの影響で延期された。

吉村代表監督「過去最高の戦力」

 前回大会はアシスタントコーチとして銀メダル獲得をサポートした。日本代表の指揮を執る吉村監督は自ら「過去最高」と評す戦力で、昨夏の東京五輪の女子に続く金メダルを目指す。

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 日本が誇る投手力、守備力、機動力を最大限に生かして勝負したい。過去最高の戦力をそろえた自負がある。

 鍵を握るのは小山だ。悔しい思いをした前回大会以降の成長をぶつけ、「ポスト松田」として新たな日本の顔になってくれれば、道は開ける。

 勝ち上がっていくためには1次リーグの結果が重要になってくる。1次リーグの後、一発勝負の決勝トーナメントで争っていた前回大会までとは違い、2次リーグは1次リーグの成績も反映される。取りこぼしなく勝ち星を積み上げ、アドバンテージを得たい。

 前回の準優勝メンバーから半数が入れ替わる中、松田の存在は心強く、彼がつくり出す雰囲気に初選出組も物おじせずに戦えるはずだ。平林金属クで13年間、苦楽を共にしてきた“戦友”を最高の形で送り出す大会にしたい。

最速135キロ右腕の小山玲央
堅守を誇る八角光太郎
左のスラッガー鳥山和也
俊足巧打の浜本悌
吉村啓監督

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