脱線時は緊急走行テスト中 宇都宮LRT 市が会見し陳謝【動画】

LRT脱線事故現場

 試運転中に発生した次世代型路面電車(LRT)の脱線事故について、宇都宮市の佐藤栄一(さとうえいいち)市長らは21日夕、市役所で臨時記者会見を開き、脱線した車両は通常のルートを逆走する緊急走行のテスト中だったことを明らかにした。22日にJR宇都宮駅東口の事故現場で専門家による現地調査を行うなど、今後、事故原因を調査し、公表するとしている。

 会見には市幹部と運行会社の宇都宮ライトレールの役員ら9人が同席。佐藤市長は冒頭「大変ご心配をおかけし、ご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます」と陳謝した。

 事故原因について、市建設部LRT担当の矢野公久(やのまさひさ)参事は「総合的な話がいろいろ重なって脱線に至ったと認識している」と述べ、軌道や車両、運転操作、気象条件などの要因を含め検証する考えを示した。

 事故当時、緊急走行を想定した車両は通常のルートを逆走した。曲線半径25メートルのほぼ直角の急カーブで、設計上の制限速度時速15キロを下回る13キロで事故が起きたことについて「専門家の意見を伺い、必要なら修正をする」と述べた。

 来年8月予定の開業については「しっかり対応する時間は残されている」とし、「現時点では延期は考えていない」と強調した。事故原因の公表時期については、言及を避けた。

 事故現場の宇都宮駅東口停留場では、速度や軌道を変えて八つの走行パターンを試験していたが、脱線した緊急走行以外のパターンでは異常はなかった。また別のカーブでの試運転でも異常はなかったという。

 脱線した車両では新たに車輪の一部や信号装置に損傷が見つかった。脱線時に破損した車止めは計4本となり、地上変圧器は外箱のみがゆがんだ。事故は19日午前0時半ごろ発生。市は21日までに、国土交通省へ事故を報告した。

記者会見で深々と頭を下げ陳謝する佐藤市長(右)ら市幹部ら=21日午後5時50分、宇都宮市役所

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