グラバー園の「旧オルト住宅」保存修理へ 44年ぶり、来月から観覧停止

長崎市が44年ぶりに大規模な保存修理工事を実施する旧オルト住宅=長崎市、グラバー園

 長崎市は21日、同市南山手町のグラバー園内にある国指定重要文化財の洋風住宅、旧オルト住宅の保存修理工事の準備に着手するため、12月1日から同住宅の観覧を停止すると発表した。同住宅の大規模な保存修理工事は1977、78年度以来44年ぶり。
 市観光政策課などによると、今月22日に開会する定例市議会に工事の契約議案(契約額4億8059万円)を提出する予定。議案が可決され次第、着工し、2025年11月の工事完了を目指している。
 同住宅は英国人貿易商、ウィリアム・オルトの旧邸。大浦天主堂を手がけた熊本・天草出身の大工棟(とう)梁(りょう)、小山秀之進の手によって、幕末の1865年ごろ建築された。木造と石造りの平屋で建築面積は約500平方メートル。別棟でれんが造りの厨房(ちゅうぼう)や倉庫がある。
 前回工事から40年以上が経過し、建物各所に劣化が見られるため、耐震補強と合わせ保存修理する。工事に合わせ、応接間や寝室など内部の展示について一新を検討する。
 市は「より安全な建物として公開できるよう事業を進めるとともに、内部の展示についても、より楽しんでもらえる内容にリニューアルしたい」としている。


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