レア文字の頻出

 実験してみた。本紙の記事データベースで「更迭」をキーワード検索すると、1723件の記事がヒットする。では「迭」1文字だと…。やっぱり1723件だ▲想像した通りだった。この文字は〈要職にある人間の役職を解き、別の人物をその役職に充てる〉ことをいうこの熟語以外に使い途がほとんどない“レア文字”だ。「更迭」はクイズや入試でしばしば読み方が出題される難読熟語でもある。なのに紙面への登場が止まらない▲「後出し説明」の経済再生担当相、「はんこ発言」の法相に続いて寺田稔総務相が更迭された。政治資金収支報告に関する疑義も、公選法違反の疑惑も、総務省の所管事項だ。退場は当然と言うほかない▲「任命責任を重く受け止めている」「国会開会中の閣僚交代を深くおわびしたい」…1カ月足らずの間に首相の口から同じような発言を3回聞いた。申し訳ないが“重く受け止めている感”は一つも伝わってこない▲信頼を回復するには、これも繰り返し聞いた「山積する課題に答えを出す」ことしかないのだろう。ただ、今の内閣は、そのために働ける状況にあるのかどうか▲しっかり「こうてつ」と読めるようになったこと、「更送(・・)」と書き間違いをしなくなったことを喜んでいられないことだけは、はっきりしている。(智)


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