【考・九州男児】「頼もしさ」「正直さ」継ぎつつ…新しい“九州男児像”を

男女共に生きやすく

 宮崎日日新聞などがSNSを活用して「九州男児」をテーマにしたアンケートで、本県在住の男性は「強くて優しい」など肯定的な声を寄せたのに対して、女性は「自己中心的」など否定的な意見が目立った。社会的、文化的に形成された性差を指す「ジェンダー」の固定化が男女共に生きづらさにつながる恐れもあり、識者は「新しい九州男児像を考える時期にきている」と指摘している。

 延岡市の会社員女性(25)は、親の実家では父や祖父が台所に立つことはなく、食事の準備などは女性が担当してきた。「亭主関白」や「男尊女卑」を目の当たりにして育ち、「決して推奨されない振る舞いも『九州男児だから』で許されようとする男性を目にする。九州男児が続いてほしくない」とした。
 男性にも「男や女にこだわる必要はない」「時代にそぐわない」など負の側面を認める意見もあったが、肯定的に受け止める傾向が見られた。宮崎市の会社員男性(37)は「勇ましい」や「情熱的」、「反骨心」とプラスのイメージを持ち「九州という地域でくくることで、自分の生まれ故郷を改めて認識できる」として残すべきとした。
 「家事は女性」「リーダーシップは男性の役割」など、性別による役割分担への疑問が多く寄せられる中、新たな“九州男児像”を提案する声も。同市の会社員女性(39)は「情が厚いなど良いところを残していければ、すてきな男性像になるのでは。故郷の男性像がそうなればうれしい」と期待を込めた。
 アンケートの結果を踏まえ、宮崎公立大(宮崎市)の四方由美教授(ジェンダー論)は「九州男児に含まれる『男尊女卑』『亭主関白』はジェンダー平等を目指す今の時代にそぐわない」と指摘する。
 一方で九州出身者のアイデンティティーとして、誇りに感じている人も一定数いるとして「『頼もしい』『正直者』などプラスの部分を引き継ぎ、“九州男子像”をアップデートしていけば男性にとっても生きやすい社会につながるのでは」と話した。

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