土石流災害から1年4か月以上… 静岡・熱海市が行政対応を総括 その責任は? 再発防止策は?

大規模な土石流がおきてから1年4か月以上経った16日、熱海市は、土石流災害に関わる行政対応の総括を発表した。行政の責任は?そして、再発防止策は?

(斉藤 栄 熱海市長)

「熱海市が多くの方々の生命財産を守ることができなかったことについて、お亡くなりになられた方々、被害にあった皆様に対し、改めて深くおわび申し上げる」

16日、熱海市が発表した総括は、去年7月に発生した土石流災害について、行政対応が適切だったのかについて市が検証したもの。

総括の柱は3点。

・1つ目は、盛り土があった土地の所有者に対する「行政対応」について。

・2つ目は土石流、発生前後の「避難指示」の判断について。

・3つ目は「再発防止策」について。

まず、行政対応で問題視されているのが2007年、土地所有者から記載されていない部分がある書類が提出されたにもかかわらず、そのまま受理したこと。この点について、熱海市は…。

(金井 慎一郎 熱海市副市長)

「届出書に未記載な部分があったものの、担当職員が現地に行ったり、(土地所有者側の)事業所の職員に話を聞き、情報を補てんした」

当時の市の対応について、「一定の合理性はある」とした上で、「未記載のまま受理した事実を重く受け止めている」と説明した。

一方、警戒レベル4にあたる「避難指示」が発災前に出されていなかったことについては…。

(斉藤 栄 熱海市長)

「判断に対して忸怩たる思いがあるのは確か。しかし、当時の状況を整理すると、行政権限の不行使にはあたらない」

市は、天候が回復傾向であったことや、一つ下の警戒レベル3にあたる「高齢者等避難」を出していたなどを理由に、「一定の合理性があった」として、「避難指示」を見送ったのは「法的に行政の裁量権を逸脱していない」との見解を示した。

これらの問題を踏まえ、市は再発防止策として、公文書への記録の徹底や職員研修の強化により行政対応能力を高めていきたいと説明し、「避難指示」については今後、出すべきか判断が難しい場合でも、積極的に出していきたいとしている。

(斉藤 栄 熱海市長)

「道義的責任、政治的責任はあると思っている。行政の改善策をしっかりと行うこと、そして今の被災エリアの復興・復旧を一日も早く進めること。今回被災された皆様、犠牲になった皆様への責任の取り方だと考えている」

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