【土石流】「法的責任はない」 熱海市の行政対応の総括に被災者ら”怒り” 「反省していない」 静岡

静岡・熱海市は16日、土石流災害に関する行政対応について「法的な責任はない」とする総括を発表した。遺族や被災者からは「裁判対策の総括だ」と怒りの声があがっている。

(自宅が被災した太田 滋さん)

「悔しい。何も自分たちがやったことを反省していない」

16日、熱海市の総括を受け怒りをあらわにしたのは自宅が被災した太田さん。

(自宅が被災した太田 滋さん)

「いろいろ考えて出したんでしょうが、後出しのよう。自分たちで総括するのであれば、もっと早いタイミングでできたのではないかと思う」

熱海市伊豆山で起きた土石流災害から1年4か月以上が経った16日、熱海市は行政対応に関する総括を発表した。熱海市は、盛り土の土地所有者から提出された書類を、重要事項に未記入の部分があったにも関わらず受理していたことについて、「重く受け止めている」とする一方、盛り土の土地所有者に対する「措置命令」の発出や「避難指示」の発令を見送った行政の対応について「法的な責任はない」との見解を示した。

(熱海市 斉藤市長)

「判断に対して忸怩たる思いがあるのは確か。しかし、当時の状況

を整理すると、行政権限の不行使にはあたらない」

この総括を受け、土石流で母親を亡くし、県や熱海市を相手取り損害賠償を求める訴えを起こしている「被害者の会」の瀬下雄史会長は…。

(瀬下 雄史会長)

「おそらく裁判前なので裁判対策としてこのような発表になると思っていた。熱海市として法的な責任がないということを主張する方向性の総括に肉付けをしていたので、ここまで(時間が)かかったのではないかと感じる」

一方、県は5月、盛り土に関する行政の対応を検証する県が設置した第三者委員会の最終報告で、「県と市の行政対応は失敗だった」という結論を受け入れているが、熱海市と同じく法的責任を認めていない。

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