フェラーリF1代表、2023年以降の去就は「私が決めることではない」と明確な返答を避けるも楽観的な姿勢

 フェラーリのチーム代表であるマッティア・ビノットは、チームでの今後について「楽観的」と語るも、最終決定権は自分にはないと認めている。

 イタリアの『Gazzetta dello Sport』紙が、今シーズン後半のフェラーリのパフォーマンスが期待外れだったため、ビノットがフェラーリF1の代表の座に留まることができるか疑問を呈したことで、退任のうわさが表面化した。同紙によると、フェラーリは現在アルファロメオのチーム代表を務めるフレデリック・バスールをビノットの後継者に考えているという。

 しかしフェラーリは声明を出し、ビノット退任に関するうわさは「まったく根拠がない」と一蹴した。土曜日にアブダビでメディアの取材に答えたビノットは、今回のうわさが浮上した後、フェラーリのジョン・エルカーン会長と面談したことを明らかにした。その結果、フェラーリは、メディアで取り沙汰されているさまざまなうわさの否定に乗り出した。

「今回の憶測が出た時に、ジョン・エルカーン会長と話をした」とビノットは述べた。

「前向きに進むにはどうしたらいいか、お互いにオープンに話し合った。憶測をシャットアウトするには、声明を出すのが最良の策だろうという結論に達した。憶測も何も、まったく根拠がないうわさだからね」

 ビノットは、目下の関心はすべてアブダビGPに向いており、うわさにつきあっている暇はないと付け加えた。

「フェラーリのことを考えるのが最優先で、余計なことに気を散らさないことが大事だ」

2022年F1第22戦アブダビGP シャルル・ルクレール&マッティア・ビノット代表(フェラーリ)

 ビノットは、2019年シーズン初めからチームを率いている。当時のチーム代表マウリツィオ・アリバベーネを引き継いでのことだった。ビノットはフェラーリを勝利への道筋に復帰させようと懸命に努力した。とりわけ2020年シーズンは、おそらく史上最悪ともいわれる成績不振に終わってしまったのだ。2021年シーズンも優勝はなかったが、フェラーリはシーズンの大部分を2022年シーズンや技術規則の大幅な変更に備えるために費やした。

 フェラーリは2022年シーズンが到来するや全力で進撃を開始し、夏の半ばまではシャルル・ルクレールがF1世界チャンピオンの座を争うなど、いい位置に付けていた。しかしパフォーマンスがいまひとつ上がらず、戦略的なミスもあって、成績が徐々に沈んでいった。最終的にレッドブルとフェルスタッペンに、コンストラクターズ選手権もドライバーズ選手権もさらわれる結果となった。

 ビノットは歯に衣着せぬ質問を浴び、自分が2023年シーズンの開幕時にフェラーリのピットウォールに座っていられると思うかと尋ねられたが、ビノットは明確な返答を避けた。

「それは私自身が決めることではない。しかし楽観的ではある」とビノットは述べた。

「なぜ楽観的かというと、上役や会長とオープンかつ率直、そして建設的な意見交換ができているからだ。短期的な話に留まらず、中長期的な見通しも立っている」

「何より、今シーズンを振り返ってみれば、いい時もあれば悪い時もあった。今季のマシンは必ずしもコース上で最速とは言えない。しかし復活を遂げ、競争力のあるチームになるという最も重要な目的は果たした。また2022年シーズンのマシンもしっかりと把握できている」

2022年F1第22戦アブダビGP カルロス・サインツ(フェラーリ)

 ビノットはチーム内の複数の部門で改善が必要であることを認識している。しかし彼は全体的なチームの実績を擁護した。

「ファクトリーでは2023年シーズンに向けて全力で取り組み、さらに上を目指そうとしている」

「さらに言えば、今シーズンはポールポジションの獲得や予選の速さで言えば、非常に優秀だったと思う。しかしレースペースの速さはそうでもなかったので、そこを改善する必要がある。マシン自体がレースで強ければ、戦略やその他のあれこれがやりやすくなる」

「聞かれれば、そう、楽観的だと答えるよ。しかしそれだけではない。やるべきことに本当に集中しているし、チームにすべてを振り向けている」

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