サーフィンシーズンの海でイルカ目撃相次ぐ 今度は福井県美浜町…かまれる被害も、専門家「姿察知したらすぐ陸へ」

福井県美浜町の菅浜沖で漁船について回るイルカ=11月12日(読者提供)

 福井県美浜町の沿岸で11月、イルカの目撃情報が相次いでいる。3日には水晶浜海水浴場で遊泳中の男性がかまれる被害があったほか、漁船について回るなど人に執着する様子が確認されている。嶺北沿岸では今夏、イルカにかまれる被害が相次いだ。冬のサーフィンシーズンを迎え、専門家は「姿を見たらすぐ陸に上がって」と注意を呼びかけている。

 イルカは4月ごろに福井市の鷹巣海水浴場に現れて以降、鮎川、越廼海水浴場でも目撃され、海水浴客をかむといった通報が少なくとも20件あり、越前町でも被害報告があったという。

 美浜町の地元漁師によれば、10月下旬ごろから同町菅浜沖で目撃され始めた。その後も丹生の漁港に現れたり、菅浜で漁船と併走したりする姿が見られるという。福井県警敦賀署によると、今月3日には同町竹波の水晶浜海水浴場で遊泳していた県外の男性が腕をかまれる被害に遭った。

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 交流サイト(SNS)では、同町内で撮影されたとみられるイルカの様子が複数投稿されている。菅浜の大敷き網漁の漁船乗組員(44)も動画を投稿し「2日に1度程度は見かけるので居座っているのでは。港に出入りする船について回っている感じ」と証言。沖合でイルカの群れはよく見るが、単独で港まで入ってくるのは珍しいといい、「人に慣れている。例の嶺北のイルカ騒動を思い出した」と話す。

 イルカに詳しい越前松島水族館(坂井市)の松原亮一副館長は、今夏に嶺北沿岸にいた「ミナミハンドウイルカ」と同じ個体かどうかは判断できないとした上で「イルカがエサを求めて長距離移動するのは珍しくない。人に慣れて執着しているようだ」とみている。

 美浜町には県内外から多くのサーファーが集まっている。松原副館長は人が入水できるほどの波の高さであれば、イルカがつきまとったり鋭い歯でかんだりすることがあるとし「ウエットスーツを着ていてもけがをする可能性がある。サーフィンを控えるか、姿を察知したらすぐ陸に上がって」と話していた。

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