輝かしい古代中国文化を垣間見させる杭州の新博物館

南宋德寿宮遺跡博物館の外観

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【杭州(中国)2022年11月21日新華社=共同通信JBN】11月22日、中国東部の浙江省の省都、杭州に中国全土の歴史ファン待望の博物館がオープンする。古代中国で最も華やかな時代の生活と文化を垣間見させてくれるものである。

中国の多くの古代王朝の中で、工芸品の美しさ、建築、文学、芸術と言えば、約1000年前の宋王朝が中国専門家、一般人に人気の選択肢である。

そして、宋王朝の素晴らしさを都市で感じたければ、杭州が行くべき場所であることは間違いない。

デジタル経済で名高い国際都市の杭州は、かつて南宋王朝の首都だったからである。西暦1138年に南宋王朝を建国した高宗(Zhao Gou)は臨安(現在の杭州)に首都を定め、この地は急発展を先導して南宋王朝の政治、経済、文化の中心になり、古代都市発展の中で輝かしい歴史を生み出した。

従って、都市を貫通する銭塘江のように、宋王朝の魅力的な文化の断片は杭州を育み華やかに栄える文化あふれる場所にした。

それから800年以上が過ぎ、時代の変化と都市建設の発展によって、かつて栄えた南宋王朝の首都は今や地下深くに埋もれている。

杭州は、南宋王朝の物語を今日の人々に伝える目に見える場を必要としている。現代の住民は、歴史の謎が解き明かされるのを待てず、出土した磁器や煉瓦、タイルによって当時の優雅さと魅力を感じている。

南宋德寿宮遺跡博物館(The Museum of Deshou Palace of Southern Song Dynasty)は、その時代の文化生活を一般公開するカギを握っている。

1162年に建立された南宋德寿宮は、高宗皇帝の退位後の住居で、南宋王朝の帝都を反映している。

これは、杭州に現存し発掘された南宋王朝で最も重要な歴史的文化財、中国最高級の儀式基準を持つ南宋王朝建造物であり、古代中国の建築・庭園史で重要な位置を占めている。

旧居がなくなって久しいのは当然だが、德寿宮遺跡は1984年に初めて発見された。4回に及ぶ大規模な考古学的発掘を経て、巨大な王宮築山の基盤、レンガ敷きの道路、岩盤、排水設備、その他の多くの遺物が見つかり、南宋王朝の王宮庭園様式や園芸技術の一端をうかがわせる考古学資料の窓になっている。

南宋德寿宮遺跡博物館は2020年12月28日に着工された。約2年の工事を経た優雅な宋様式の建物は、実際は遺物保護の上奥になっており、その下でメインホール跡が展示されている。

これは、宋王朝の建築書や絵画、考古学的発見の調査に基づいて推定された元の外観と規模に従って建造された地下遺跡の復元である。

この象徴的復元は、遺跡保護シェルターの役目を果たす博物館のほんの一部にすぎず、入館者は南宋王朝の建築美を直感的に鑑賞できる。

さらに注目すべきは、デジタル手法によって復元・展示されている多くの当時の建築庭園である。

入館者がより鮮明に見られるように、博物館の遺跡エリア全体にはデジタル展示を備えた遺跡10カ所が設定されている。3Dインタラクティブデバイス、ダイナミックな長巻物、デジタルプロジェクション、インタラクティブ拡張現実(AR)、仮想現実(VR)によって、德寿宮と各時代の王宮の建築景観をのぞくことができる。

旧遺跡とデジタル手法の有機的統合、および遺跡情報の没入的でインタラクティブな説明と展示を通じて、南宋王朝の建築と庭園の美しさは中国で初めて特殊復元に基づいてうまく再現されている。

今日、博物館の外を歩くと、どこでもSong Yun文化の遺伝子を見つけられる。都市の精神と血に刻まれているためである。

お香を焚き、お茶をたて、掛け軸をかけ、花を生ける-宋王朝のWu Zimu(吴自牧)が著書で言及した4つの余暇活動は、現在も容易に見つけられる古代杭州の生活を描いている。東坡肉(トンポーロウ)、バターケーキ、Dingshengケーキは都市の味覚のシンボルになっている。中国紅曲酒、南宋の酒造法、杭州錦の技術などもある。宋の人々の生活美学追求は、現代の一般人生活に統合され、文化的遺伝子の接続点になっている。

英国の著述家アラン・ド・ボトン(Alain de Botton)は、椅子や家を「美しい」と言うとき、それが意味するライフスタイルが好きと言うに等しいとしている。

博物館が広く注目されたのは、歴史の流れを切り開いて、南宋王朝のライフスタイルや、政治、文化、芸術、生活美学を同時に示すからである。南宋王朝の社会環境は東洋思想と生活を生み出し、東洋美学の新たな高みも形成している。その余情はなお、今の杭州と人々の生活を育んでいる。

800年以上前、杭州は芸術文化のブームと地元住民の繁栄する優雅なライフスタイルを目撃した。800年余りを経て、開放性、寛容、革新の社会的雰囲気はなお強い。1000年を超える郷土史のある宋王朝の魅力的な文化は、共通の繁栄を促進する中国近代化という杭州の夢の精神的支柱になった。

杭州を訪れる機会があったら、西湖をそぞろ歩くほかに、南宋德寿宮遺跡博物館の訪問を忘れてはならない。壮大な宋王朝絵画と心を温まる磁器、光と影が織りなす鮮やかな相互作用の間に、昔ながらの杭州様式と揺るぎない活力の文化コードの手掛かりが得られる。

ソース:The Museum of Deshou Palace of Southern Song Dynasty

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