島原鉄道沿線の在り方検討 “地域の足”確保へ 長崎県が部会設置

県地域公共交通計画の素案について意見交換した協議会=県庁

 長崎県は22日、人口減や新型コロナウイルスの影響などで厳しい経営が続く公共交通の再構築に向けた「県地域公共交通計画」(2023年4月~26年3月)の素案を明らかにした。“地域の足”を確保するため、官民や交通事業者間の連携強化を推進する国の方針を受け、同日付で「島原鉄道活性化検討部会」を設置。今後、事業者や沿線自治体、利用者らで協議を重ね、島鉄沿線の公共交通の在り方を検討していく。
 同日、県庁であった県地域公共交通活性化協議会で説明した。素案では、鉄道と並行して運行するバス路線について、双方の役割を明確にして運行サービスの見直しを検討することを明記。利用者の少ないバス路線は、運行ルートの見直しや減便、市町と交通事業者が連携してコミュニティーバスやタクシーへの転換を検討するなどとしている。
 31の離島航路、5の離島航空路(いずれも21年度)は、国庫補助金など支援制度を活用し、維持していく考え。
 国は、地域公共交通の再構築とまちづくりを一体的に進める自治体に対し、財政支援を強化する方針を示している。方針に沿って設立した島鉄の検討部会は、同協議会の下部組織に位置付け、県バス協会、島原半島と諫早市の各タクシー協会、観光団体なども委員に名を連ねる。沿線地域での鉄道と他の交通機関の役割の見直しや地域活性への活用などを検討していくという。24日に県庁で1回目の会議を開く。
 本県のもう一つの地域鉄道、松浦鉄道(MR)は、以前から沿線自治体2県4市2町でつくる「松浦鉄道自治体連絡協議会」で経営支援や今後の在り方について議論している。
 素案は25日開会の県議会定例会で示し、パブリックコメントを経て、年度内に策定する予定。


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