
世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」などを主に徒歩で巡る「長崎と天草地方の『世界遺産巡礼の道』」(巡礼の道)。その一部を、日本航空(JAL)の客室乗務員らが体験して情報発信するモニター事業が、佐世保市黒島町であり、関係者ら12人が黒島の潜伏キリシタンの歴史を歩いてたどった。
巡礼の道は、新型コロナウイルス禍でも密を避けながら世界遺産を楽しんでもらおうと県が昨年創設。5エリア全35の巡礼路から成る468キロ。各巡礼路の始点・終点が公共交通機関と接続しており、巡礼路の順番に関係なくどこからでも歩くことができる。
モニター事業は、日本航空の「JALふるさと応援隊」と提携し、昨年に続き2回目。同応援隊は、公募で選ばれたJALの現役客室乗務員約千人が、ゆかりのある県などを担当。地域の魅力を発掘して専用のウェブサイトで発信するなど、地域活性化に貢献する活動を行う。現在17人が本県を担当している。
黒島のモニター事業には、父親が本県出身の倉田美穂さん(44)と一ノ瀬郁帆さん(25)が応援隊として参加。2人は県職員らと共に島の観光拠点「黒島ウェルカムハウス」を出発。黒島観光協会の山内一成理事長(67)にガイドしてもらいながらカトリック共同墓地や根谷のアコウ、黒島天主堂など約8キロを歩いて巡った。
普段、移動手段が電車や車が多いという2人は「歩いて見える景色は一つ一つ鮮明で、ゆっくり島を味わえる、ぜいたくな時間の使い方だと思った。隠れキリシタンの方がどういう気持ちでこの光景を眺めていたのかに思いをはせると、歴史に引き込まれる」と話した。2人は、同市立黒島小中で客室乗務員の仕事の紹介などを行い、島民らと交流もした。
体験の様子は、12月上旬に各県の同応援隊などの記事を掲載するウェブサイト「OnTrip JAL」で紹介する予定。