【今季3位 鹿児島ユナイテッド総評】新戦力で攻撃に幅、後半戦の守備にほころび 昇格には補強不可欠 サッカーJ3

ホーム最終戦でシュートを放つ鹿児島U・有田(右)。今季も多くのサポーターが選手を後押しした=13日、白波スタジアム

 サッカーJ3の鹿児島ユナイテッドFC(鹿児島U)は、21勝3分け10敗のリーグ3位で今季を締めくくった。前半はリーグ首位に立つこともあり、最後まで昇格争いに食い込んだ。クラブ最低の7位に沈んだ昨季より充実した試合は多かった。ただ4試合連続で勝利から遠ざかるなど、後半戦には課題が残る。34試合を戦い抜いたシーズンを振り返る。

 昨季の1試合平均得点は1.214点で今季は1.618点。開幕から13試合連続で得点するなど高い攻撃力が光った。鍵となったのは新加入組だった。

■得点力が向上

 個の能力が高い有田はリーグ3位の15得点、ロメロは攻撃の起点として何度も得点機を演出。サイドバックの星や薩川は両サイドを駆け上がり攻撃に参加するなど、相手を崩して得点する形が多かった。司令塔の木村は精度の高いキックで得点をお膳立てした。

 既存の選手も躍動した。エース米澤はキャリアタイの12ゴール。

 終わってみれば、無得点は5試合だけ。豊富な運動量でチームを鼓舞した五領は「右でも左でも崩せる。どこから攻めてくるか分からないと相手に思わせる攻撃ができている」と振り返った試合もあった。

■痛い取りこぼし

 「いい守備から、いい攻撃」が代名詞だった今季の鹿児島U。前半戦17試合はリーグ最少の13失点と、らしさを存分に発揮した。しかしDF岡本が、けがで戦列から離れた第17節を境に、ディフェンスがほころび始める。

 後半17試合の失点は26。守りが崩壊した分だけ、勝ち星から遠ざかった印象だ。特に鳥取戦は0-6の惨敗。得失点差が昇格のポイントだった最終盤を考えると、格下相手に取りこぼした試合が多かったのは痛かった。

 開幕戦で比べると、先発メンバーの平均年齢は28.55歳と18チーム中4番目に高い。スタメンに30歳以上が8人という試合もあった。

 加えて中盤以降に主力の故障が相次いだ。それを補う選手層の厚さがほしかったが、先発メンバーとの力の差は否めない。途中出場で得点できる木出のような「スーパーサブ」は少なかった。

 長いシーズンを戦い抜くには、若手やスタミナがある選手の補強は欠かせないだろう。

■来季への期待

 Jリーグ初采配の大嶽直人監督は力を尽くした。結果が振るわなくても「下を向く必要はない」と、選手たちに前向きな言葉をかけ続けた。勝ち点66を獲得した選手たちは、指揮官の期待に十分に応えたといえよう。

 昇格した2位の藤枝より勝利数は一つ多い。昇格できなかった要因は黒星の多さだ。10敗は8位の長野と同じ。しっかりと守り、敗戦を減らせば昇格の道は再び見えてくる。最終戦後に大嶽監督は「精神力、球際、どれをとっても強さが必要。中途半端でなく、行くんだと貫く強さがあればJ2に行ける」と力を込めた。

 鹿児島UはJ3降格後3年目のシーズンを終えた。4年目以降にJ2再昇格を果たした他のクラブはなく、“J3沼”となかなか抜け出せない沼に例えられる。クラブは、もっと危機感を持つべきだ。選手の補強など、来季の戦いはもう始まっている。J3沼から抜け出すための「実のある1年」だったと思いたい。

【関連表】リーグ3位で終えた今季の鹿児島ユナイテッドの戦績

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