【WEB版】「うれしすぎる誤算」 サポーター「歓喜」の美酒に酔いしれ 宇都宮のパブで応援【動画】

日本代表がドイツに勝利し、歓喜に沸くサポーターたち=24日午前0時、宇都宮市池上町

 サッカーワールドカップ日本代表の初戦となるドイツ戦が行われた23日深夜、宇都宮市内の飲食店にもユニホーム姿のサポーターが集い、勝利への祈りを込めて熱戦を見守った。日本代表は過去4度の優勝を誇るドイツ相手に、劣勢からの逆転で大金星を挙げる劇的なスタートを切った。「うれし過ぎる誤算」。勝ち点3を獲得する最高の結果に、エールを送り続けた県民は「歓喜」の美酒に酔いしれ、次戦コスタリカとの戦いに一次リーグ突破への期待を膨らませた。

 宇都宮市池上町の英国風パブ「ライオンズヘッド西口店」には午後9時ごろからブルーのユニホーム姿の客らが続々と訪れ始め、午後10時の試合開始前には約30人が集まった。栃木市都賀町合戦場、会社員佐藤純一(さとうじゅんいち)さん(40)は「初戦はしっかり見届けないと」と待ちきれない様子だ。強豪ドイツとの対戦に「良い試合をして、一次リーグ突破の景気をつけてもらいたい」と健闘を祈った。

 店はW杯に合わせ特別カクテル「サムライブルー2022年」を用意した。ラムベースの淡い青色が特徴の一杯で島田宗馬(しまだかずま)店長(33)は「これを飲んで大いに盛り上がってほしい」と笑顔を見せた。新型コロナウイルス感染対策で店の入り口は常に開けて換気し、入店時には手指の消毒を求めた。

 店内3カ所のテレビで試合を放映し、試合開始前に流れる君が代に合わせ客も合唱。キックオフのホイッスルが鳴ると「がんばれ」と拍手とともにエールを送った。前半8分、オフサイド判定となった惜しいシュートなど、日本代表の好プレーが出るたびに歓声が上がった。

 宇都宮市鶴田町、会社員榊原靖之(さかきばらやすゆき)さん(36)は「序盤からいい動きしてます。これはいける」とビールも手に付かない様子で熱戦の行方を見守った。

 前半はドイツに主導権を握られ続ける展開となり、33分にPKで失点すると大きなため息が店内を包んだ。「引き分けでいい」「1点だけでも」「やっぱりドイツは強い」。0-1で折り返すと、期待と諦めがない交ぜになった。

 後半途中からは一転、日本代表が攻勢に転じ、サポーターも息を吹き返した。「頼むから決めてくれ」。宇都宮市星ケ丘1丁目平尾翔太(ひらおしょうた)さん(31)はチャンスの場面が生まれるたびにいすから立ち上がって応援した。

 後半30分、堂安が同点ゴールを決めると、歓声が店内にとどろいた。「これは勝てるかも」。一気に盛り上がると8分後、浅野が劇的な勝ち越しゴール。「ナイスシュートだ」。総立ちで拳を突き上げた。

 現実味を帯びてきた勝利への期待感からか店内は緊張した雰囲気となり、座ることも忘れて画面を見つめた。ピンチをしのぎきって試合終了のホイッスルが鳴ると興奮は最高潮に達した。「勝った」。ドラマチックな番狂わせを目の当たりにし、自然と「ニッポン」コールが沸き起こった。誰ともなく勝利の杯を交わし、歓喜を分かち合った。

 足利市島田町、会社員小林克徳(こばやしかつのり)さん(36)は「うれし過ぎる誤算。最高です」と頬が緩みっぱなし。同僚で宇都宮市松原2丁目遠藤真人(えんどうまさと)さん(40)は「後半の逆転劇には本当に驚かされた。コスタリカにもこの勢いで挑んでほしい」とエールを送った。

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